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憎悪
「憎悪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憎悪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
がら、おいおい、呂律《ろれつ》がまわらなくなって来た。が、なおも濁った目に懸命の
憎悪《ぞうお》を集めながら、足を踏み鳴らして、意味のない事を叫びつづける。――太....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
彼の家の生活の象徴だった。………
信輔はこの貧困を憎んだ。いや、今もなお当時の
憎悪は彼の心の奥底に消し難い反響を残している。彼は本を買われなかった。夏期学校へ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
なことは、馬琴大人の口真似《くちまね》をすれば、そのためしさわに多かりでげす。」
憎悪の感情は、どっちか優越の意識を持っている以上、起したくも起されない。馬琴も相....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
き》ばかり前に寄稿を依頼する長手紙をよこした。しかしこの雑誌社から発行する雑誌に
憎悪《ぞうお》と侮蔑《ぶべつ》とを感じていた彼は未だにその依頼に取り合わずにいる....
「影」より 著者:芥川竜之介
上ぐべき必要無き事と存じ候。されど貴下は溺愛の余り……」
今西の顔はこの瞬間、
憎悪《ぞうお》そのもののマスクであった。
鎌倉。
陳《ちん》の寝室の戸は破....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
誠実を疑わなかった。だから僕の心もちが妻に通じない点で、――通じない所か、むしろ
憎悪を買っている点で、それだけ余計に僕は煩悶《はんもん》した。君を新橋に出迎えて....
「河童」より 著者:芥川竜之介
よ。」
僕はこの時のゲエルの微笑を――軽蔑《けいべつ》することもできなければ、
憎悪《ぞうお》することもできないゲエルの微笑をいまだにありありと覚えています。
....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
がした。それからまた以前よりも、ますます肥《ふと》って来た牧野の体が、不意に妙な
憎悪《ぞうお》の念を燃え立たせる事も時々あった。
牧野は始終愉快そうに、ちびち....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
神聖な感動でも何でもない。ただ冷やかな軽蔑《けいべつ》と骨にも徹《とお》りそうな
憎悪《ぞうお》とである。神父は惘気《あっけ》にとられたなり、しばらくはただ唖《お....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
は、恐怖が少しずつ消えて行った。そうして、それと同時に、この老婆に対するはげしい
憎悪が、少しずつ動いて来た。――いや、この老婆に対すると云っては、語弊《ごへい》....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
。
勿論この声援は二人の若者にも作用した。彼等は互に血走った眼の中に、恐るべき
憎悪を感じ合った。殊に背《せい》の低い猪首《いくび》の若者は、露骨にその
憎悪を示....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
であろう。管鮑の交りは少時問わず、我我は皆多少にもせよ、我我の親密なる友人知己を
憎悪し或は軽蔑《けいべつ》している。が、
憎悪も利害の前には鋭鋒《えいほう》を収め....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
ございます。私はこの二つの幻影を、如何に恐怖に充ちた眼で、眺めましたろう。如何に
憎悪に燃えた心で、眺めましたろう。殊に、妻の眼が第二の私の顔を、甘えるように見て....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
思っても、舌が動かなかったと云う事でした。が、幸その眼の方でも、しばらくは懸命の
憎悪を瞳に集めて、やはりこちらを見返すようでしたが、見る見る内に形が薄くなって、....
「初雪」より 著者:秋田滋
した。その透間風が、ある時は顔に、ある時は手に、ある時は頸に、その不実な、冷かな
憎悪を絶えず吹きつけるのだった。 彼女はまたしても煖房のことを口にするようにな....