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憚り
「憚り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憚りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
を発見した時、私は眼を見張って驚かずにはいられなかったではないか。私が眼を据えて
憚りなく自己を見つめれば見つめるほど、大きな真実な人間生活の諸相が明瞭に現われ出....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
幾歳だと思って居やがるんだ。虫っけらの眼から贅沢水を流す様な事をして居やがって、
憚りながら口幅ってえ事が云える義理かい。イフヒムの奴も太腐れて居やがる癖に、胸三....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
った幼い方は、アハハアハハ、と笑って跳ねる。 「豪いぞ、豪いぞ。」 というのも
憚り、たださしまねいて褒めそやした。小船は見る見る廉平の高くあげた手の指を離れて....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い、何だ。」 と笑いもカラカラと五徳に響いて、煙管を払いた。 「対手は素人だ、
憚りながら。」 「昨夜振られてもかい。」 「勿論。」 「直言を感謝す。」 と俯....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
の世の何かだろう、何んだか、おなごりが惜いんです。掴殺されりゃそれきりだ、も一つ
憚りだがついでおくれ、別れの杯になろうも知れん。」 と雫を切って、ついと出すと....
「女客」より 著者:泉鏡花
けて、顔を斜に覗きながら、背後向きに机に寄った当家の主人に、一枚を齎らした。 「
憚り、」 と身を横に、蔽うた燈を離れたので、玉ぼやを透かした薄あかりに、くっき....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
声で、 「貴下、上ったら、これにお着換えなさいよ。ここに置いときますから、」 「
憚り、」 と我に返って、上って見ると、薄べりを敷いた上に、浴衣がある。琉球|紬....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
上げるばかりなのです。 自白した罪人はここに居ります。遁も隠れもしませんから、
憚りながら、御萱堂とお見受け申します年配の御婦人は、私の前をお離れになって、お引....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
我善坊から、狸穴辺――化けるのかと、すぐまたおなかまから苦情が出そうである。が、
憚りながらそうではない。我ながらちょっとしおらしいほどに思う。かつて少年の頃、師....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
で。」 小造な若い令夫人は声を懸けて向直ったが返事をしなかったので、 「貴方|
憚り様ですが呼鈴を、」とお睦まじい。 すなわち傍なる一閑張の机、ここで書見をす....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、馬鹿にしやがら、堪らねえ旨えや。旨えが嬉しくねえ、七目れんげめ、おかみさん、お
憚りながらそういっておくんねえ、折角ですが嬉しくねえッて。いや、滅相、途轍もねえ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
すが、隠して下さい、笠を透して胸が白い、乳が映る。」 「見えますか。」 「申すも
憚りだが、袖で隠して。」 「いいえ、いいえ。」 おくれ毛が邪慳に揺れると、頬が....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
らるべき。人に顔見するがもの憂ければこそ、摩耶も予もこの庵には籠りたれ。面合すに
憚りたれば、ソと物の蔭になりつ。ことさらに隔りたれば窃み聴かむよしもあらざれど、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
札をつけて軒下へぶら下げておくと同一で、たちまち鳶トーローローだい。」 「こう、
憚りだが、そんな曰附の代物は一ツも置いちゃあねえ、出処の確なものばッかりだ。」と....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
の声の聞えやせむかと、夜ごとに枕を欹てなどしつ。おもて立ちて訪ずれむは、さすがに
憚りありたれば、強いて控えたり。余所ながら姉上の姿見ばやと思いて、木槿垣の有りし....