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憩う
「憩う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憩うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
の花も散ってしまった。翁は寂しくなった。翁がこの木の下にしばし疲れを安めるために
憩うたのは、一つは、葉の茂みの軟かさにもあるのだろうが一つは微紅《とき》色をした....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
ぐ)取っておくれ。 撫子、立ち、うけて欄干にひらりと掛く。 蝶の数、その蓑に翼を
憩う。……夫人、獅子頭に会釈しつつ、座に、褥に着く。脇息。 侍女たちかしずく。 ....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
それは丁坊に見覚えのある根拠地にちがいないことが分った。 一行はそこにしばらく
憩うことにした。それは別のみちをとおってくる大月大佐指揮の甲組がおいつくのを待つ....
「流線間諜」より 著者:海野十三
るためには、ボゴビ、ラザレフ岬という地名を知らねばならない。 探偵帆村荘六は、
憩う遑もなく、それからまた地名辞典の頁を忙しく繰った。すると、果然あった、あった....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
慥にここと見覚えの門の扉に立寄れば、(早瀬、引かれてあとずさりに、一脚のベンチに
憩う。) お蔦 (並んで掛けて、嬉しそうに膝に手を置く)感心でしょう。私も素人に....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
後様に骨盤の辺に組み合せて、所作なき時は立ちながら憩いぬ。要するに吾人が腰掛けて
憩うが如く、乞食僧にありては、杖が鼻の椅子なりけり。 奇絶なる鼻の持主は、乞丐....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
八雲琴の調を休むと、後囃子なる素袍の稚児が、浅葱桜を織交ぜて、すり鉦、太鼓の音も
憩う。動揺渡る見物は、大河の水を堰いたよう、見渡す限り列のある間、――一尺ごとに....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
りながら、そこへ来て、その人が肩を並べた。 白刃を落して、その時|腕をさすって
憩う、小松原の手を取って、 「ああ、嬉しい。」 と、山の端出でたる月に向って、....
「十年後のラジオ界」より 著者:海野十三
ーンと投身自殺を果したとする。やがていよいよ死の国で、わがC子は正気づく。すると
憩う遑もなく、忽ち娑婆から各新聞社が自殺原因をラジオで問い合わせて来る。親たちや....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
て、日の出から日の入りまで、日を迎え、日を送り、又日かげと共に歩み、日かげと共に
憩う信仰があったことだけは、確かでもあり又事実でもあった。そうして其なごりが、今....
「中支遊記」より 著者:上村松園
でに定っていたのかも知れない。 南京にて 十三日。南京に着いて宿舎に
憩う暇もなく汪精衛主席に会う都合がついたからと公館に挨拶に出かけることになった。....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
元気に任せて、影も見ないで、日盛を、松並木の焦げるがごとき中途に来た。 暑さに
憩うだけだったら、清水にも瓜にも気兼のある、茶店の近所でなくっても、求むれば、別....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
浅い。坂を上った右手に心覚えの古樫も枝が透いた。踞んで休むのは身は楽だけれども、
憩うにも、人を待つにも、形が見っともない、と別嬪の朋友に、むかし叱られた覚えがあ....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
に出る。一先ずルックザックを引上げ、皆その台地の上に立つと、軽い気持になって暫く
憩う。 既に三時半であり、露営する用意もなくその日の中に谷川温泉へ下る積りの私....
「海ぼたる」より 著者:小川未明
ました。どうかして、川ばたに出て、それについてゆこう。その後は、野にねたり、里に
憩うたりして、路を聞きながらいったら、いつか故郷に帰れないこともあるまいと思いま....