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憺
「憺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
憺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
それを誇張し出した。日本の戯曲家《ぎきょくか》や小説家は、――殊に彼の友だちは惨
憺《さんたん》たる窮乏《きゅうぼう》に安んじなければならぬ。長谷正雄《はせまさお....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
だが、ドレゴはそれから程経つまでこの重要な事項を忘れていたのである。 現場は惨
憺たるものであった、荒涼目をそむけたいものがあった。 巨船は人を莫迦《ばか》に....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
て、そうするより外に道が無かったならばどうするかと念を押して見た。自分の前途の惨
憺たる有様を想見するより外に何らの答を為し得ない。 一人の若い衆は起きられない....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
れの肉情のショックに堪え切れないほどになった。 「これこそ自分が十余年間苦心|惨
憺して造ろうとして造り得なかった理想の至魚だ。自分が出来損いとして捨てて顧みなか....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
彼地此所に眼を配る消火夫の水に濡れると忽ち白い煙を渦立たして噴き出した。満目唯惨
憺として猛火の暴虐を語っていた。 焼けた材木を伝い、焼落ちた屋根の亜鉛板を踏ん....
「恐竜島」より 著者:海野十三
獣に追いまくられて逃《のが》れきれぬ人間が、最後の苦闘をつづけている図だ。 惨
憺《さんたん》たるありさまだ。 恐竜は穴から、その長い首の先にモレロをくわえて....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
つてためしを聞かんぞ! そりゃあるいは雨も降ろう、黒雲も湧き起ろうが、それは、惨
憺たる黒牛の背の犠牲を見るに忍びないで、天道が泣かるるのじゃ。月が面を蔽うのじゃ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
竹箆で土を削って、基督の像が、等身に刻みつけて描いてあった。本箱の中も、残らず惨
憺たる彩色画で、これは目当の男のない時、歴史に血を流した人を描くのでした。」 ....
「取舵」より 著者:泉鏡花
てられたらむように、婦女等は算を乱して手荷物の間に横われり。 「やあ、やあ! 惨
憺たるものだ。」 渠はこの惨
憺さと溽熱さとに面を皺めつつ、手荷物の鞄の中より何....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
き、殊に最後の数年間は眼疾を憂い、終に全く失明して口授代筆せしめて完了した苦辛惨
憺を思えば構想文字に多少の倦怠のあるは止むを得なかろう。とにかく二十八年間同じ精....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
く、新聞は戦争に逐われて文学なぞを載せる余裕はない。いわゆる文壇|餓殍ありで、惨
憺極る有様であったが、この時に当って春陽堂は鉄道小説、一名探偵小説を出して、一面....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
る。両人は扉を挟んで、腰をかけた、渠等好事なる江戸ツ児は、かくて甘んじて、この惨
憺たる、天女|廟の門衛となったのである。 雨がドッと降って来た。 しばらくす....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
の締切時間を遅らしがちなので、編輯局から容子を見届けに度々社員を派したが、苦辛惨
憺する現状を見るものは誰でも気の毒になって催促し兼ねたそうだ。池辺三山が評して「....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ら、修業の力で得た報身、そこに導き取られた法身を備えておられます。いずれも苦心惨
憺の結果になる導きの教えを遺されております。 また、釈尊以来、幾多の聖者によっ....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
人取り残されてしまったのです。 それからの私の生活は、お話にも何もならない、惨
憺たるものでした。 何年かまた経ちました。 ある時あちらの新聞を広げて何気な....