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「懃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
、怯《お》ず怯《お》ず私の顔色《かおいろ》を窺いながら、前よりやや自然な声で、慇《いんぎん》にこう言葉を継《つ》いだ。 「いえ、それも勿論強いて先生から、是非....
十円札」より 著者:芥川竜之介
。やっと昨日《きのう》退院しました。」 粟野さんの前に出た保吉は別人のように慇《いんぎん》である。これは少しも虚礼ではない。彼は粟野さんの語学的天才に頗《す....
尼提」より 著者:芥川竜之介
うじゃっこうど》に遊ぶことが出来るぞ。」 尼提はこう言う長者の言葉にいよいよ慇《いんぎん》に返事をした。 「長者よ。それはわたくしが悪かった訣《わけ》ではご....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
のも、筆を動かしていたのも、皆それぞれ挨拶《あいさつ》をする。内蔵助もやはり、慇《いんぎん》に会釈をした。ただその中で聊《いささ》か滑稽の観があったのは、読み....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
った。黒絽《くろろ》の羽織をひっかけた、多少は酒気もあるらしい彼は、谷村博士と慇《いんぎん》な初対面の挨拶をすませてから、すじかいに坐った賢造へ、 「もう御診....
おしの」より 著者:芥川竜之介
った。 「何か御用ですか?」 「はい、少々お願いの筋がございまして。」 女は慇《いんぎん》に会釈《えしゃく》をした。貧しい身なりにも関《かかわ》らず、これだ....
路上」より 著者:芥川竜之介
いがしら》に大井と顔を合せると、女のような優しい声で、しかもまた不自然なくらい慇《いんぎん》に、 「今日《こんにち》は。大井さん。」と、声をかけた。 ....
仙人」より 著者:芥川竜之介
た来た時のように、紋附の羽織をひっかけながら、主人夫婦の前へ出ました。そうして慇《いんぎん》に二十年間、世話になった礼を述べました。 「ついては兼《か》ね兼《....
少年」より 著者:芥川竜之介
伝道は全然相手を尊重しない。あたかも隣りに店を出した洋服屋の存在を教えるように慇《いんぎん》に神を教えるのである。あるいはそれでも知らぬ顔をすると、今度は外国....
秋山図」より 著者:芥川竜之介
しましょうか?」 「どうぞ」 ※南田は銅檠《どうけい》の火を掻き立ててから、慇《いんぎん》に客を促した。 * * * 元宰....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
プレトオをも教師だったなどと云うのは、――保吉は爾来《じらい》スタアレット氏に慇《いんぎん》なる友情を尽すことにした。 午休《ひるやす》み ....
或る女」より 著者:有島武郎
或《あ》る新聞の社主であり主筆である某が、親佐と葉子との二人《ふたり》に同時に慇《いんぎん》を通じているという、全紙にわたった不倫きわまる記事だった。だれも意....
或る女」より 著者:有島武郎
ると、貞世にでもだれにでも葉子は少しの容赦もしなかった。しかし見た所はいかにも慇《いんぎん》に口を開いた。 「わたしが木村さんの所にお嫁に行くようになったのは....
星座」より 著者:有島武郎
田氏の口調は、第三者の前でいつでも新井田氏が渡瀬に対してみせるあの尊大で同時に慇《いんぎん》な調子になっていた。 「今月の何んです、今月のお礼ですが、都合がい....
活人形」より 著者:泉鏡花
向いて、「今の御客は。と問えば、訝かしげに泰助の顔を凝視しが、頬の三日月を見て慇に会釈して、二階を教え、低声にて、「三番室。」 四番室の内に忍びて、泰助は壁....