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懇
「懇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
懇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
るように、口をゆがめた。
「じゃ沙金《しゃきん》はまた、たれかあすこの侍とでも、
懇意になったのだな。」
「なに、やっぱり販婦《ひさぎめ》か何かになって、行ったら....
「春」より 著者:芥川竜之介
題には何の解決も与えなかった。辰子はただ篤介と毎日顔を合せているうちにいつか彼と
懇意《こんい》になり、いつかまた彼を愛したのだった。のみならず第二の問題もやはり....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
いましたが、これを御奉公の初めにして、その後《のち》も度々|難有《ありがた》い御
懇意を受けたのでございます。
まず、若殿様の御平生《ごへいぜい》は、あらあらか....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
治初期の文明が人間になったような紳士でした。それが長い航海の間に、いつとなく私と
懇意になって、帰朝後も互に一週間とは訪問を絶《た》やした事がないくらい、親しい仲....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
に足を休めていた。左近はまず甚太夫の前へ手をつきながら、幾重《いくえ》にも同道を
懇願した。甚太夫は始《はじめ》は苦々《にがにが》しげに、「身どもの武道では心もと....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
ざいましょう。拝領仰せつけられましょうか。」
宗俊の語の中《うち》にあるものは
懇請の情ばかりではない、お坊主《ぼうず》と云う階級があらゆる大名に対して持ってい....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
――これは女主人公《じょしゅじんこう》の名前ですよ。――音楽家の達雄《たつお》と
懇意《こんい》になった以後、次第にある不安を感じ出すのです。達雄は妙子を愛してい....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
漢の故事を引いて、親子の恩愛を忘れぬ事が、即ち仏恩をも報ずる所以《ゆえん》だ、と
懇《ねんごろ》に話して聞かせたそうです。が、説教日は度々めぐって来ても、誰一人進....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
…
K君は僕よりも十《とお》も若い人です。おまけに同じ宿のM子さん親子とかなり
懇意にしている人です。M子さんは昔風に言えば、若衆顔《わかしゅがお》をしていると....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
実家の叔母と病室の隅に寝泊りしていた。そのうちにそろそろ退屈し出した。そこへ僕の
懇意にしていた或|愛蘭土《アイルランド》の新聞記者が一人、築地の或待合へ飯を食い....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
その儀は、宇左衛門、一命にかけて、承知仕りました。」
彼は、眼に涙をためながら
懇願するように、佐渡守を見た。が、その眼の中には、哀憐《あいれん》を請う情と共に....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
ん》を弾《はじ》いていた。
「主計官。」
保吉はしばらく待たされた後《のち》、
懇願《こんがん》するようにこう云った。主計官は肩越しにこちらを向いた。その唇《く....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
「じゃ僕が案内しよう。この間金談を見て貰いに行って以来、今じゃあの婆さんとも大分
懇意になっているから。」「何分頼む。」――こう云う調子で、啣《くわ》え楊枝《よう....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
又雲坪を論じ合った後、蘭竹を一幅貰ったこともある。実際あらゆる編輯者中、僕の最も
懇意にしたのは正に滝田君に違いなかった。しかし僕はどういう訳か、未だ嘗て滝田君と....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
に住うよし、久しぶりにて便りを得たり、別紙を持参して諸事の指揮をその人にうけよと
懇ろに予が空想に走する事を誡められたり。 予は深沢にもその事を話し、届きたる袷....