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「懇切〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懇切の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
芽生」より 著者:島崎藤村
歳の今日まで、お房はお房の生き得るかぎりを生きたものであること――こういう宣告が懇切な学士の口唇から出た。私は厳粛な、切ない思に打たれた。そして、あの子供を救う....
アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
椅子《ソファ》から立ち上がって、快活な親しみをもって迎えたが、そこには度をすぎた懇切――人生に倦怠《アンニュイ》を感じている俗人のわざとらしい努力――が大分ある....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
、人生のことも思う機会がない。 あってみない前の思いほどでなく、お光さんもただ懇切な身内の人で予も平気なればお光さんも平気であったに、ただ一日お光さんは夫の許....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
聴いて、洗心させられた。一つは陸軍大臣下村大将の「陸軍軍人及び軍属に告ぐ」の平明懇切なる諭、もう一つは頭山秀之氏の「新日本への発足」という話で、日本の負けたのは....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
切の儀、わが合衆国の大統領においても重大の儀と存じおり候。申し上げ候儀はいずれも懇切の心より出づる事に候につき、右御心得をもっておきき取り下さるべく候。」 最....
お住の霊」より 著者:岡本綺堂
仏するように、仏事供養を営むが可かろうという事に一決して、一同その墓所へ参詣し、懇切に回向した。で、その幽魂が果して成仏したかどうか知らぬが、その後は何の不思議....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
なんてね。映画のようね、などと言うのも自然かも知れないよ」 と、半平のコーチは懇切をきわめている。半平の話をきくだけきゝ終ると、ツル子は首をふって、 「ダメよ....
『演劇』あとがき」より 著者:岸田国士
時に、フランス劇紹介者としてわれわれに親しみのある原千代海君を煩わして、まことに懇切な内容のものとなった。 一、わが国演劇の現状 東京新聞で劇評の筆を執り、....
書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
更に一層徹底させて、上被も用意せず、糸も通さない出版もある。所蔵装幀に対して一層懇切な刊行である。が之は、余り頁数の多いものや、ザツなものには余り見かけない。日....
画道と女性」より 著者:上村松園
も途中まで進んだものでもあれば、そのようなものを完成したのでもよい、というような懇切なお話もあったので、ふと私はその当時|巴里展覧会に出品している作品で、年末ま....
小山内薫先生劇場葬公文」より 著者:久保栄
念願たる国劇樹立の緒につかんとする時、溘焉として世を去られたのであります。先生の懇切な御指導のもとに専心演劇研究に精進しつつあったわれわれは、このにわかの悲しみ....
迷信解」より 著者:井上円了
今般文部省にて編纂せられたる『国定小学修身書』を一読するに、その中に迷信の課題ありて、懇切に迷信に関する注意を与えられしも、その文簡短にして、小学児童の了解し難きとこ....
露伴の出世咄」より 著者:内田魯庵
をしたと心から深く詫びつつ、さてこの傑作をお世話したいが出版先に御希望があるかと懇切に談合して、直ぐその足で金港堂へ原稿を持って来た。 「イヤ、実に面白い作で、....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ンの関所へ掛り、我は日本の仏教徒で仏教修行に来た者であるから入れてくれろといって懇切に話をすれば入れてくれぬ事もあるまい」といわれたけれどもそれは到底駄目です。....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
し。ただし僧侶は、男女の交際、外人の応接に注意し、言語、談話、訪問、待遇の極めて懇切丁寧なるを要す。すなわち、懇切丁寧をもって人の愛を買うものにして、しからざれ....