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「懇篤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懇篤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
に触るように恐る恐る御前にまかり出でて、 「御所様から、大坂表へ御出陣あるよう御懇篤な御依頼の書状が到着いたしました」と、言上した。家老たちは、今までにその幼主....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
いう。 因に翁のこの時の帰郷の際には、藤堂伯、前田子、林皇后太夫、その他数氏の懇篤なる引留め運動があったらしいが、翁は国許の門弟を見棄てるに忍びないからという....
亮の追憶」より 著者:寺田寅彦
せられた人や、また亮が読むべくしてついに読む事のできなかった倉田氏の著書の巻頭に懇篤な追悼文を題して遺族に贈られた人もあった。 私はここでそういう人々の名前を....
関牧塲創業記事」より 著者:関寛
伏川を渡る。河畔に鉄道測量の天幕あり。一名の炊夫ありて、我牧塲を能く知る。 最も懇篤に取扱いくれたるはうれし。茲にて弁当を喰す。茶を饗せられたり。此迄は人家無く....
書簡(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
ので甚だすまない気がしております。今度二十五周年記念号を出すので何か書くようとの懇篤な御すすめがありましたので何かと考えてみましたが右様の次第でありますからほと....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た祖父のことなどを、巧妙に話しかけて、ついに彼の心を奪ってしまった。二人の婦人の懇篤《こんとく》な温情は、彼の身にしみ込んだ。彼はそのうちとけた好意を、その社交....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
も皿《さら》も口をきき、「親愛なる客」を迎える喜びをあかずくり返し、健康を尋ね、懇篤で道義的な忠告を与えていた。安楽|椅子《いす》――それもごく堅いものだったが....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
四重奏曲が聴《き》かれるはずだった。手紙はきわめて親切な文句で、主人のルーサンも懇篤な数行を書き添えていた。彼はクリストフとの仲|違《たが》いを自慢にはしていな....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
富裕な家庭において、土地一流の地位を占めながら友人らに取り巻かれてる、快活で親切懇篤な父親をもっていて、生活はいかにも安易でなごやかだったのである。 アントア....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
良な人々は、平和に暮らすことしか求めない。ことにドイツの善良な人々は、穏和であり懇篤であって、すべての人と仲よくしたがっており、他国人を攻撃するよりもむしろ、他....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
出した。ああ他の人たちはいかに遠くにいたことだろう! 父も母も他人と同じで、その懇篤な利己心だけしかもたず、自分自身に満足しきっていて、人形に等しい十四歳の彼女....
犬神娘」より 著者:国枝史郎
間に恐ろしいお声で、こう俊斎様を叱咤なされました。 「月照上人は近衛殿から、俺が懇篤に頼まれたお方じゃ! それに俺には義兄弟じゃ! 安全の場所へおかくまいするま....
智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
、昭和十年二月知人の紹介で南品川のゼームス坂病院に入院、一切を院長斎藤玉男博士の懇篤な指導に拠ることにした。又仕合なことにさきに一等看護婦になっていた智恵子の姪....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
術工芸のことには一層忠実でなくてはならないこと、同時にまた後進子弟に対しては親切懇篤の心をもって指導することは申すまでもなし、既に帝室技芸員という名称の下に身を....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
omme du Roi「王室の首席貴族」ド・ラ・シャートル(アシャー)公の非常に懇篤な書きものが添うていた。 最もしたしい友よ、今日はこれだけで我慢してくれた....