»
懐
「懐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
懐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
ろの常磐木。少年はふと背むしを見つめる。が、背むしはふり返りもしない。のみならず
懐《ふところ》から焼き芋を出し、がつがつしているように食いはじめる。
....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
ラスど》りの芸者の写真が開化《かいか》を誇り合った時代を思い出させるので、一層|
懐《なつか》しみがあると云った。子爵はやはり微笑を浮べながら、私の言《ことば》を....
「河童」より 著者:芥川竜之介
四の龕の中の半身像は我々日本人のひとりです。僕はこの日本人の顔を見た時、さすがに
懐《なつか》しさを感じました。
「これは国木田独歩《くにきだどっぽ》です。轢死《....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
したた》めてあった。「私儀《わたくしぎ》柔弱《にゅうじゃく》多病につき、敵打の本
懐も遂げ難きやに存ぜられ候間《そうろうあいだ》……」――これがその仔細の全部であ....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
云う。これもそう無性《むしょう》に喜ぶほど、悪魔の成功だったかどうか、作者は甚だ
懐疑的である。
(大正十一年八月)....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
え、さんざん悪態《あくたい》をついたそうです。するとお松は何も言わずに「三太」を
懐《ふところ》に入れたまま、「か」の字川の「き」の字橋へ行き、青あおと澱《よど》....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
って、愉快なものだったかどうかは、自《おのずか》らまた別な問題である。
彼の述
懐を聞くと、まず早水藤左衛門は、両手にこしらえていた拳骨《げんこつ》を、二三度膝....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
て参りました。どうも案外待たされましてな。」
神山は浅川の叔母に一礼してから、
懐《ふところ》に入れて来た封書を出した。
「御病人の方は、少しも御心配には及ばな....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
すから。……勿論近代的恋愛でしょうね?
保吉 さあ、それは疑問ですね。近代的|
懐疑《かいぎ》とか、近代的盗賊とか、近代的|白髪染《しらがぞ》めとか――そう云う....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
そうすけ》を救いに出かけるところだった。「その時|蜑崎照文《あまざきてるぶみ》は
懐《ふとこ》ろより用意の沙金《さきん》を五包《いつつつ》みとり出《いだ》しつ。先....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
手紙じゃないか?」 こう呟いた遠藤は、その紙切れを、拾い上げながらそっと隠した
懐中電燈を出して、まん円な光に照らして見ました。すると果して紙切れの上には、妙子....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
食えもする(何と云ってもこれが人間最大の幸福なのだ。)病弱な胃の腑は人間を駆って
懐疑思想に導く。無信仰に誘う。人間の心のなかに暗い思想や死を念う気持を胚胎させる....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
い、人々見合う中にて人の物を掠め去らんとする者あり。肌へ着けたりとて油断ならずと
懐中へ手を差し入れて彼の胴巻を探るに、悲しやある事なし。気絶して其所に倒れんとす....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、多分欧洲の時局に大影響があるだろう」と書いた。後には、やや保守党に傾いた意見を
懐いておったらしい。 ファラデーのような人で、不思議に思われるのは、博愛事業に....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
。と云うわけはこうである。 生活に追い立てられて旅に出た次兵衛が、纔に温まった
懐をおさえて、九州の青年の多くが、その青雲を志し成功を夢みて、奔流する水道を、白....