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「懐こい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懐こいの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:島崎藤村
れないことが有ります」 「そういうものでしょうかねえ……」 「一体、正太さんは人懐こい――だからあんなに女から騒がれるんでしょう」 豊世は苦いような、嬉しいよ....
牡丹」より 著者:宮本百合子
来て夕方までいて行くことなどあった。母親もそうだが、この大学生にもどこか内気に人懐こいようなところがあった。草を拉《ひし》いで積み重ねた材木に腰かけ、職人達に蕎....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
申上げたいからですよ」 という意味をほのめかしたようであった。そして又、その人懐こい可愛らしい締った唇は、軽い微笑を含んで無言の裡に云っていた。 「私は只今初....
継子」より 著者:夢野久作
パードを繋いでいる小舎であった。そのセパードはアムールといってステキに大きい、人懐こい犬で、その中でも玲子と、玲子の先生の中林哲五郎には特別によく懐いているので....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
《ち》っとも悪意はない。であるから、独りの時には、矢張《やっぱり》元の無邪気な人懐こい犬で、滑稽《とぼけ》た面《かお》をして他愛のない事ばかりして遊んでいる。惟....
光は影を」より 著者:岸田国士
まいましいような気もする。だが、それと同時に、はじめて、七年前のあの無邪気な、人懐こい妹にめぐり合つた思いで、胸がじいんとするのであつた。この一年あまり、同じ屋....
チェーホフ試論」より 著者:神西清
で、その言動には均衡と一致があったとしながら、しかも細部的に見ると、彼には特に人懐こいところも、特に人好きのするところも、友情も熱情もことごとく欠けていたことを....
三枚続」より 著者:泉鏡花
なさい、)と光起は言下に応ずる。 (でもあのこんなですから、)とさも世馴れた、人懐こいといったような調子で、光起に背を捻向けると、頸を伸して黒縮緬の羽織の裏、紅....