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「懐中時計〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懐中時計の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
なりながら、チョッキのポケットから、紫の打紐《うちひも》のついた大きなニッケルの懐中時計を出して、丹念《たんねん》にそれと時間表の数字とを見くらべている。横顔だ....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
部屋の中には、ただ、ランプの油を吸い上げる音がした。それから机の上に載せた私の懐中時計が、細かく時を刻む音がした。と思うとまたその中で、床の間の楊柳観音《よう....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
樟《くす》の木の下にもう一度何か話しはじめる。みちの上に落ちた円光は徐ろに大きい懐中時計になる。時刻は二時三十分。 44 この山みちのうねったあたり....
深夜の市長」より 著者:海野十三
りを探してみると、目に停ったのは、懐中電灯にはあらで、それはクローム側の真新しい懐中時計だった。紐も鎖もなんにもついていない。これはもちろん僕のものではないから....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
の出たときに、私の言う話であるが、試みに諸君は身体の調子のよいときに、ポケットの懐中時計をソッと掌のうちに握って、 (はて、いま何時何分かなァ――) と考えて....
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
たい。…… 大江山警部は電話のある室を出て、階段をプラットホームに下りながら、懐中時計を出してみた。もう夜も大分更けて、ちょうど十時半になっていた。昨日の今頃....
少年探偵長」より 著者:海野十三
い真珠の首飾、さてはけばけばしい彫刻をした大小いろいろの指環や、古色そう然とした懐中時計をはじめ、何だか訳の分らない細工物や部分品が、そのガラス箱の中にひしめき....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
ぢまるように、するするぴちんとちぢんで、もとのように短くなった。 目は、大きな懐中時計くらい大きく、そして厚いレンズをはめこんだように、ぎらぎら光っていた。目....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ですネ」 「こんなことは滅多にないことだ。おお、ここに何か落ちているぞ。時計だ。懐中時計でメタルがついている。剣道|優賞牌、黒田選手に呈す――」 「あッ、それは....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
てある事を思い出したし、……またそうも言った。――お澄が念のため時間を訊いた時、懐中時計は二時半に少し間があった。 「では、――ちょっと、……掃除番の目ざとい爺....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
時半頃にもなりましょうか。) (時計が止ったよ――気をつけておいで。) と大な懐中時計と、旗竿の影を、すっくり立って、片頬夕日を浴びながら、熟と落着いて視めて....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
居つ。うろうろ四辺を見廻す間に、時彦は土間に立ちたるまま、粛然として帯の間より、懐中時計を取出し、丁寧に打視めて、少年を仰ぎ見んともせず、 「五十九分前六時です....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
た、客は別に騒ぎもせず、さればって聞棄てにもせず、何の機会もないのに、小形の銀の懐中時計をぱちりと開けて見て、無雑作に突込んで、 「お婆さん、勘定だ。」 「はい....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
サンノ手カラ、逃ゲ出スミチハアリマセン。サヨウナラ」 遠藤は手紙を読み終ると、懐中時計を出して見ました。時計は十二時五分前です。 「もうそろそろ時刻になるな、....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
る。いよいよこづかい銭にも困ってきたので、有名な香港の泥棒市場で、持っていた銀の懐中時計を二円で売った。 こうして戦々恐々としているある夜のこと、隣りの座敷の....