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懐郷
「懐郷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
懐郷の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
話した或女のことを思い出した。彼女はパリに住んでいるうちにだんだん烈《はげ》しい
懐郷病に落ちこみ、夫の友だちが帰朝するのを幸い、一しょに船へ乗りこむことにした。....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
――そう云う思い出はいつのまにか、この紅毛《こうもう》の沙門《しゃもん》の心へ、
懐郷《かいきょう》の悲しみを運んで来た。彼はその悲しみを払うために、そっと泥烏須....
「新生」より 著者:島崎藤村
守宅への仕送りをして遠く子供を養うことを忘れることは出来なかった。そろそろ自分も
懐郷病《ホームシック》に罹《かか》ったのか、それを考えた時は実に忌々《いまいま》....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
地域はサヴルーズ谷を模し、本館はテレーズの生家トレヴィーユ荘の城館を写し、もって
懐郷の念を絶たんがためなりとぞ。さるにしても、このほど帰国の船中|蘭貢において、....
「李陵」より 著者:中島敦
く雁《かり》の列が南へ急ぐのを見ても、しかし、将卒一同|誰《だれ》一人として甘い
懐郷の情などに唆《そそ》られるものはない。それほどに、彼らの位置は危険|極《きわ....
「小公女」より 著者:菊池寛
卓や、東洋風に縫取の施してある衝立などが下されました。それを見ると、セエラは妙に
懐郷的な気持になりました。彼女は印度にいた時には、よくそうしたものを見たものでし....
「蛸の如きもの」より 著者:豊島与志雄
ら、泡盛を小杯でなめる。沖繩の人たちが行儀よく屯ろして、小声で話している。戦後、
懐郷の念に禁じ難いものもあるであろう。だが、彼等が出て行ったあと、こんどは不行儀....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
「あの細い月がわかい者にはどくです。あの月を見ているうちに、急に心細くなって、
懐郷病(国のことを思って、たまらなくなる病気)にとりつかれますから」 「そのとお....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
しくはないし……」 と彼女は懐かしそうに話した。それはエキゾチックではなくて、
懐郷的であった。 「ミス・ヤスはこっちより向こうの方がいいの?」 「だって小さい....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
で、このごろは級《クラス》や学校の話ばかり出るようになった。 みな、すこしずつ
懐郷病《ホーム・シック》の気味で、スキーもあまりしなくなり、雪やけした頬や鼻にク....