懸けず[語句情報] » 懸けず

「懸けず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懸けずの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
妖術」より 著者:泉鏡花
あとで身上を聞くと、芸人だと言う。芸人も芸人、娘手品、と云うのであった。 思い懸けず、余り変ってはいたけれども、当人の女の名告るものを、怪しいの、疑わしいの、....
新茶のかおり」より 著者:田山花袋
するのも一興である。路はやがて穉樹の林に入って、うねうねと曲って行く。と、思いも懸けず、林の外れに、おいちにおいちにと呼んで歩く薬売の男が、例の金ピカの服を日に....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
ト自己《おの》が云う事だけを饒舌《しゃべ》り立てて、人の挨拶《あいさつ》は耳にも懸けず急歩《あしばや》に通用門の方へと行く。その後姿を目送《みおく》りて文三が肚....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
酒の科と堪忍して逆らわず、大地に手を突き首を下げて、頻りに詫びても、酔漢は耳にも懸けず猛り狂って、尚も中間をなぐり居るを、侍はト見れば家来の藤助だから驚きまして....
薬草取」より 著者:泉鏡花
かり、雲も雪も紫も偏に夜の色に紛るるのみ。 殆ど絶望して倒れようとした時、思い懸けず見ると、肩を並べて斉しく手を合せてすらりと立った、その黒髪の花|唯一輪、紅....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
るりと起直った、逢いに来た婦の一重々々、燃立つような長襦袢ばかりだった姿は、思い懸けずもまた類なく美しいものであった。 膚を蔽うに紅のみで、人の家に澄まし振。....
南地心中」より 著者:泉鏡花
後ざまに仰向いて空を見た。時に、城の雲は、賑かな町に立つ埃よりも薄かった。 思懸けず、何の広告か、屋根一杯に大きな布袋の絵があって、下から見上げたものの、さな....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
と収穫をあげるようにしなければ、やって行けないです」 「でも昔の農業は、そう金を懸けずとも立派にやって行けたではないか」 「そりゃあ昔と今では違います、昔はせい....
黒百合」より 著者:泉鏡花
。 静かに歩を移して、もう少しで通へ出ようとする、二|間幅の町の両側で、思いも懸けず、喚! といって、動揺めいた、四五人の小児が鯨波を揚げる。途端に足を取られ....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
処へ来かゝりますと、向うから一人の旅人、物をも云わず摺れ違いました。文治は心にも懸けず遣り過しましたが、二三丁まいりますと、一人の旅人が素ッ裸体で杉の樹に縛り付....
早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
んぼ》野郎が食い酔って来やあがって水でも呑んでいるんだろうと、わっちは別に気にも懸けずにね、へえ、そのまま眠ってしまいましたよ。」 「何時《なんどき》でした。」....
雪柳」より 著者:泉鏡花
活がいいと強いられた、黄肌鮪の刺身にやられたと見えて、家へ帰ってから煩った、思い懸けず……それがまた十何年ぶりかで、ふと出会った旧い知己で、つい近所だから、と裏....