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懸命
「懸命〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
懸命の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
になりました。が、こっちは元よりそんな事には、気がつく筈がありません。ただ、一生
懸命に黒犬を急がせながら、美しい大和《やまと》の国原《くにはら》を足の下に見下し....
「影」より 著者:芥川竜之介
ら、何度もこう考え直そうとした。しかし誰かが見守っていると云う感じは、いくら一生
懸命に打ち消して見ても、だんだん強くなるばかりである。
房子はとうとう思い切っ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ちばし》はすっかり腐って落ちてしまいました。
もっともまた時には雌の河童を一生
懸命《いっしょうけんめい》に追いかける雄《おす》の河童もないではありません。しか....
「彼」より 著者:芥川竜之介
」
「いいえ、一昨年《おととし》の三月ですよ。」
彼は何かにぶつかるように一生
懸命に話しかけていた。が、彼の妹は時々赤児をあやしながら、愛想《あいそ》の善《よ....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
苦労でしたよ。お爺さんは何も知らないように、黙っていろと御云いなすったから、一生
懸命にすましていましたが、今更《いまさら》あんな嘘をつかなくっても、すぐに一しょ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
、だんだん赤濁りを帯び始めた。「戦争だ。戦争だ。」――彼女はそう思いながら、一生
懸命に走ろうとした。が、いくら気負《きお》って見ても、何故《なぜ》か一向走れなか....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
たから※陀多《かんだた》は、早速その蜘蛛の糸を両手でしっかりとつかみながら、一生
懸命に上へ上へとたぐりのぼり始めました。元より大泥坊の事でございますから、こう云....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
るのだぞ。」
その言葉が終らない内に、おすみも遥《はる》かにおぎんの方へ、一生
懸命な声をかけた。
「おぎん! おぎん! お前には悪魔がついたのだよ。祈っておく....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
つけたんだもの。」
「嘘つき。兄さんがさきに撲《ぶ》ったんだい。」
洋一は一生
懸命に泣き声で兄に反対した。
「ずるをしたのも兄さんだい。」
「何。」
兄はま....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
しない。神父はほとんどのしかかるように鬚《ひげ》だらけの顔を突き出しながら、一生
懸命にこう戒《いまし》め続けた。
「まことの神をお信じなさい。まことの神はジュデ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
から、逃げ出そうという計略は、すぐに見破られてしまうでしょう。ですから妙子は一生
懸命に、震える両手を組み合せながら、かねてたくんで置いた通り、アグニの神が乗り移....
「初雪」より 著者:秋田滋
い。 だから彼女には返事が出来なかったのである。なんにも云わずに、ただ泪を一生
懸命に拭いた。なんと云えばいいのか、彼女には分らなかった。やっとの思いで、頻りに....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
願うほどの我儘者でない様にと心がけてはおります。貴女を御喜ばせする様にと私が一生
懸命になった方がよいのか、それとも御近寄りせぬでいた方がよいのか、いずれなりと御....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
があろうとかまわず、突っ走った。一飛びごとに石は跳ね、火花は散った。イカバッドが
懸命になって逃げようとし、長い痩身を馬の頭の前にのりだすと、その薄っぺらな洋服は....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
助と太郎右衛門が、峠を越して平原の見えるところまで来た時、坂の下の方で伊作が一生
懸命に二人の方を見て、手を振っているのが、見えました。 「どうしたんだべいな? ....