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懸想
「懸想〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
懸想の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
らの昔なじみじゃ。おばばが、わしをどう思うたか、それは知らぬ。が、わしはおばばを
懸想《けそう》していた。」
太郎は、こういう場合、この酒飲みの、狡猾《こうかつ....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
た。
その吉助が十八九の時、三郎治《さぶろうじ》の一人娘の兼《かね》と云う女に
懸想《けそう》をした。兼は勿論この下男の恋慕の心などは顧みなかった。のみならず人....
「牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
しゃれ》でもなかろう?」 「まずそんなことです。……実は僕、或|少女《むすめ》に
懸想《けそう》したことがあります」と岡本は真面目で語り出《いだ》した。 「愉快々....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
次郎どのは毎夜かかさず通って来るのは、まことの心からの信心ではない。実はお姫様に
懸想していたのである。現にゆうべの祈祷の休息のあいだに、彼はお姫様をとらえて猥ら....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の仕業に相違あるまいと、わたくしは睨んで居ります」 千之丞はかねて千倉屋の娘に
懸想していて、町人とはいえ相当の家柄の娘であるから、仮親を作って自分の嫁に貰いた....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
それはもう、この頃のお心では、明さんは本望らしい――本望らしい、」 とさも
懸想したらしく胸を抱いたが、鼻筋白く打背いて、 「あれあれ御覧なさいまし。こう言....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
が第一手段に候なり、昔語にさること侍りき、ここに一条の蛇ありて、とある武士の妻に
懸想なし、頑にしょうじ着きて離るべくもなかりしを、その夫|何某智慧ある人にて、欺....
「死者の書」より 著者:折口信夫
自分の方でも、娘に代って返し歌を作って遣した。今朝も今朝、又折り返して、男からの
懸想文が、来ていた。 その壻候補の父なる人は、五十になっても、若かった頃の容色に....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
これは日本の万葉時代の女性、藤原夫人の恋のなやみの歌である。彼女は実に、××に
懸想し奉ったのであった。 稲つけばかがる我が手を今宵もか殿のわくごがとりて嘆かな....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
お妹御に雪と申すお娘御がござりましたが、大変お美しゅうござりましたので主人和泉が
懸想を致し妻に貰い度いと申入れましたところ、但馬様から拒絶られ、それを恨に持って....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
飛び下りた。 「澄江殿かアーッ」と死期迫った声で、陣十郎は呼ばわった。 「其方に
懸想したばかりに……が今では二人一緒に、木曽街道の旅はしたが、躰に操に傷付けなか....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
や女房をほしいままに掠め奪って、おのが妄婦として戯れ狂うのみか、果ては塩冶の妻に
懸想して、その夫をほろぼしても、おのれの慾を遂げようと企つる。それもみな我々が悪....
「間人考」より 著者:喜田貞吉
奉る。 古今著聞集に、 宇治入道殿に侍ひける嬉しさといふはしたものを、顕輔卿|
懸想せられたるに、つれなかりければ遣はしける。 我と云へばつらくもあるか嬉しさ....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
スだった。伯爵の愛妹、ペヌロオプ夫人は、かつてサア・フィリップ・シドニイが空しく
懸想したステラだった。彼女はリッチ卿と結婚した。一方シドニイはウォルシンガムの娘....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
あったと解する。また彼らは正月に赤色の法衣を着、顔を白布で包んで目ばかりを出し、
懸想文を売って歩く。今の辻占売のようなもので、それを買ったものはそれによって縁起....