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「懸案〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

懸案の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
日を待った。今はもう敵打《かたきうち》は、成否の問題ではなくなっていた。すべての懸案はただその日、ただその時刻だけであった。甚太夫は本望《ほんもう》を遂《と》げ....
恩を返す話」より 著者:菊池寛
、それを避けた。「惣八どのと甚兵衛どのとは、腕前においていずれが上じゃ」などいう懸案が同門の間に、提出せられるたびに、惣八郎は「われらがごとき」といって謙遜した....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
た。わが軍は目下自衛のため、交戦中なり」とラジオ放送が伝えた。 ああ久しいかな懸案状態の日ソ関係、遂に此処に至る。それと知って、私は五分ばかり頭がふらついた。....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
とかにある、猶太建国さ。こんな氷の島だから何にもなるまいけれど、とにかく、ながい懸案だった猶太国ができあがる。そのため書いたロングウェルの筋書に、うかうかお前さ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
あった。ヨーロッパに向かって、この国を開くか開かないかはまだ解決のつかない多年の懸案であって、幕府に許されても朝廷から許されない貿易は売国であるとさえ考えるもの....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
せることになった。実に兵庫の開港はアメリカ使節ペリイがこの国に渡来した当時からの懸案であり、徳川幕府が将軍の辞職を賭けてまで朝廷と争って来た問題である。こんな黒....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
、どっちかなあ。ぼくは、そのことをよく知らないから、答えられない」 この問題は懸案《けんあん》になった。 そこへ隆夫の母が、甘味《あまみ》のついたパンをお盆....
四次元漂流」より 著者:海野十三
心とを抱いて、ひとりで広い多摩川べりを歩いていた。彼の胸の中には、一つの具体的な懸案があった。それはいつだか川北先生と共に、家の裏でふんづかまえたことのある怪し....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
を供給し得る、完全な飼育場を持つことが出来たのである。 こうして私のパリ以来の懸案は解決されたが、初め考えたよりもその実行ははるかに困難であった。カリー・ライ....
著作権の問題」より 著者:伊丹万作
ねばならぬ。中でも早速取り上げてもらわねばならぬ重要な問題の一つに著作権に関する懸案がある。ここでは、この問題に対する私見を述べてみたいと思う。 従来の日本の....
チェーホフ試論」より 著者:神西清
ーホフは勿論満足だったに違いない。彼自身の言種にしたがえば、「医学部を出て以来の懸案だった学位論文」が、科学にのみならず直接社会に寄与したのである。『死の家の記....
翻訳の生理・心理」より 著者:神西清
もこの点には触れておられるし、それが晩《おそ》かれ早かれ克服されなければならない懸案であることには僕も至極同感なのだが、仮に何時《いつ》の日かこの遠いイメージが....
奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
た道筋に論及し、この補任はもともと彼の多年の希望であり、朝廷においても久しい間の懸案であったが、官僚の間にもその反対者があり、特に後白河法皇がそれを御許容になら....
」より 著者:カフカフランツ
を無益に引っぱりなおして、くり返し頭を振るのだった。この宿の清潔に関する昔からの懸案らしい争いが、またもや突発しているらしかった。疲れきっているKにとっては、夫....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
た。船場氏は口を開いて、演説を始めた。 「諸君、大阪市の煤煙の問題は、もう多年の懸案でありまして、その被害は我々の間にもはなはだしく感ぜられておるのであります。....