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懼
「懼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
懼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
囲にある。然し私の怯えた心はその何れにも無条件的な信頼を持つことが出来ないで、危
懼と躊躇とに満ちた彷徨の果てには、我ながら憐れと思う自分自身に帰って行くのだ。 ....
「聖書の読方」より 著者:内村鑑三
キリストの再臨に関する警告二つ。同十二章三十五節以下四十八節まで。序に「小き群よ
懼るる勿れ」との慰安に富める三十二節、三十三節に注意せよ。 人は悔改めずば皆な尽....
「蠅」より 著者:海野十三
しまった。 (何故だろう。何故だろう) 彼は憤るよりも前に、まず駭き、羞らい、
懼れ、転がるように会場から脱け出でた。そして自分の部屋に帰って来て、安楽椅子の上....
「蠅男」より 著者:海野十三
そうなところは只の一個所もない。それは被害者総一郎が「蠅男」の忍びこんでくるのを
懼れて、入口以外の扉も窓もすっかり釘づけにして入れなくしてしまったからだ。 た....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
この夜も、よく眠れなかった。 遺 書 一、事態茲ニ至ル 大御心ヲ拝察シ恐
懼言葉ヲ識ラズ 一、佐野家第十代昌一ヲ始メ妻英、長男晴彦、二男暢彦、三男昌彦、二....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
面を見られんを恥じて、長くこの暗室内に自らその身を封じたるものなればなり。渠は恐
懼て日光を見ず、もし強いて戸を開きて光明その膚に一注せば、渠は立処に絶して万事|....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
べき者だ、と一途にこう思っていた。ところが百里の間に名の響いた挙人老爺がこの様に
懼れたときいては、彼もまたいささか感心させられずにはいられない。まして村鳥のよう....
「故郷」より 著者:井上紅梅
て背中にこびりついて離れない。 「その子は水生だね。五番目かえ。みんなうぶだから
懼がるのは当前だよ。宏兒がちょうどいい相手だ。さあお前さん達は向うへ行ってお遊び....
「車中有感」より 著者:上村松園
洋髪でありながら、なんという日本美に溢れていることか…… くしゃくしゃの電髪に
懼れをなしていたわたくしであっただけに、洋髪にも、こういう日本美の型が編み出せる....
「あゝ二十年」より 著者:上村松園
年七年と、思わぬうちに歳月が流れさり、つい今日まで延び延びになりまして、一層|恐
懼いたしておるしだいでございます。 もっともその間には、幾度か焼炭をあて、下図....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
行は、どうして、楽なものではなかったのです。可心にとって、能登路のこの第一歩の危
懼さが、……――実は讖をなす事になるんです。」 と言って、小山夏吉は一息した。....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
病につき、ただちに帰宅せよ」と、親戚某より寄するところの電報なり。愕然、大いに憂
懼す。しかれども、公事を帯び羈客の身となる。ほしいままに帰省なしがたきをもって、....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
をして、「境涯が境涯だから人にも賤しめられ侮られているが、世間を呑込んで少しも疑
懼しない気象と、人情の機微に通ずる貴い同情と――女学校の教育では決して得られない....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
は余らもまた仲間割れをせり。余は到つて臆病なりしかばかかる時は常に両人中余の尤も
懼るる方に附き随ひて媚を献じてその機嫌を取れり。 余はかくの如く他人に対して臆....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
玉網の柄を執りて、介錯の用意全く成れり。 漁史は、手応の案外強きに呆れ、多少危
懼せざるに非ざれども、手繰るに従いて、徐々相近づくにぞ、手を濡らしつつ、風強き日....