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成心
「成心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
成心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「橡の花」より 著者:梶井基次郎
私はとうとう発見出来ませんでした。サ行の音が多いにちがいないと思ったりする、その
成心に妨げられたのです。然し私は小さいきれぎれの言葉を聴きました。そしてそれの暗....
「無名作家の日記」より 著者:菊池寛
などに対する競争心から、俺でも十分な自信があるような顔をしていた。が、今すべての
成心を去って、公平に自分自身を考えると、俺は創作家として、なんらの素質も持ってい....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
でに罪悪の暴露《ばくろ》にあるのだから、あらかじめ人を陥《おとしい》れようとする
成心の上に打ち立てられた職業である。そんな人の悪い事は自分にはできない。自分はた....
「明暗」より 著者:夏目漱石
よ」と答える叔母を、叔父は遮《さえぎ》った。
「なにきまりが悪いばかりじゃない。
成心《せいしん》があっちゃ、好い批評ができないというのが、あいつの主意なんだ。つ....
「弓町より」より 著者:石川啄木
は、けっして牧師が説教の材料を集め、淫売婦がある種の男を探すがごとくに、何らかの
成心をもっていてはいけない。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ 粗雑....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
ないのじゃ。これがわしが皆にする最後の説教じゃ。わしがこれを言うのは人間の心ほど
成心を去って素直になりにくいものはない事をよく知っているからじゃ。素直な心になっ....
「『日本資本主義発達史講座』趣意書」より 著者:野呂栄太郎
る羅列《られつ》、説明をもって能事おわれりとするものではない。いわんや、何らかの
成心をもってあえて事実を虚構するがごときは、本講座の執筆者とはまったく無縁である....
「イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
云った。理論的計画は人々の任意によって立てられるかのように見える。事実人々は或る
成心を以て或る理論的結果を招くべく計画する時、事物はこの計画に合致すべく性格づけ....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
スから出発しなければならないのは明らかである。初めから批評の結論を仮定するような
成心を以てする評論は許されない。その意味で評論は率直で正直であることが必要なので....
「地図にない街」より 著者:橋本五郎
れぬ。が、物語がひどく私達の常識からかけ離れているのと、それから場所、人に対する
成心《せいしん》の故とで、おそらく誰にも信じてはもらえなかったであろう。氏として....
「不肖の兄」より 著者:豊島与志雄
は自分の詩についての自信がなかったからさ。それだもの、「幼き愛」などというあんな
成心あって拵えた詩なんか、何の価値もありゃしない。それをお前はほめてくれた。いつ....
「帝展を見ざるの記」より 著者:寺田寅彦
からびた灰色の、無秩序な些細な抑揚の交錯であある。 批評でも書いてみようという
成心を持っていない、通り一遍の観覧者の多数は、おそらくこういう感じを抱いて洋画の....
「自作肖像漫談」より 著者:高村光太郎
って置きたい。一体に女性のよい肖像彫刻は思ったよりも少い。これは美しく作るという
成心を作者が持ち易いためではないかと思う。ロダンのノアイユ夫人などは最も優れた作....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
を実に感謝します。私は今から毎日毎日この作に力をそそぎます。そしてまったく文壇的
成心をはなれて、純粋な愛で、私のユーゲントを葬るためにのみかきます。たぶんそこに....
「神代史の研究法」より 著者:津田左右吉
古学上の研究の助をかりて、それを試みねばならぬ。初から神は人なりというような臆見
成心を有っていて、それによって神代の物語を改作したり、その物語と遺跡や遺物との間....