成熟[語句情報] »
成熟
「成熟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
成熟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
よかった。いやしくも文学を解するものは木部を知らないものはなかった。人々は木部が
成熟した思想をひっさげて世の中に出て来る時の華々《はなばな》しさをうわさし合った....
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
たく止《や》みました。今や小麦なり、砂糖大根なり、北欧産の穀類または野菜にして、
成熟せざるものなきにいたりました。ユトランドは大樅《おおもみ》の林の繁茂のゆえを....
「鯉魚」より 著者:岡本かの子
る。自分では、ただ頼みにする人、有難い人と思っている積りだが、心の底ではもう恋が
成熟しきっている。その証拠《しょうこ》には、われ知らず、男の心を試すような我儘《....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
にかけて、芸妓たちに勝越そうとする態度を露骨に見せたりした。 そういう場合、未
成熟《なま》の娘の心身から、利かん気を僅かに絞り出す、病鶏のささ身ほどの肉感的な....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
印銘されるもので、一生の間変えることのできぬものである。子供の栄養と発育によって
成熟はするが改造はできない。ある混合の仕方では生活が不可能になるような場合さえも....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
常に困難な判断が要ることが判った。それというのが、打ちみたところ、この女は立派に
成熟していたが、すこし心神にやや過度の消耗があり、左肺尖に軽微ながら心配の種にな....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
のはですな、H駅を去る西方約六|哩、B駅近くの曲線になっている上り線路上に、相当
成熟し切ったものらしい大きな黒豚の無惨なバラバラ屍体が発見されたんです。B駅と言....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
…何ですか」 うっかり、何処の学校を、いつ卒業したかと訊きそうになって、こんな
成熟不能の青年では、ひょっとしたら、どの学校も覚束なくはないかと懸念して、遠慮の....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
供のように声をあげて、その場に泣き伏した。 杜は、曾て知っていたミチミとは別の
成熟した若い女が、彼の前で白い頸を見せ、肩を慄わせて泣いているように思った。それ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
べく、地上に現れたる魂なのである。かるが故に、現世に於て蒔かれたる種子は、やがて
成熟して、次の世界の収穫となる。単調無味な、夢のような天国が、前途に諸子を待って....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
の、男のような声を出す女優が、まだ十七に過ぎないのを知ったら、誰しも、その異常な
成熟には怖しさを覚えるであろう。 さて演技が殺し場まで進むと、狂いのはかなさに....
「まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
十五名の代議員を認めて再建方式を定めて社会党再建闘争に乗り出したのであるが、その
成熟しない中に本年一月の大会で分裂の非運に遭遇したのであるが、日本勤労階級の社会....
「街を行くまゝに感ず」より 著者:小川未明
、どんなに汗水を滴らして働いたか。 また、林檎を栽培し、蜜柑、梨子、柿を完全に
成熟さして、それを摘むまでに、どれ程の労力を費したか。彼等は、この辛苦の生産品を....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
大、これであります。総称して五大(地大は堅固の性あり、水大は洗浄の性あり、火大は
成熟の性あり、風大は破壊の性あり、空大は自由性あり)といっております。大とは物質....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
僕には十分に悲しい。今の病苦から半分だけでも解放されたら、そうしたら――いっそう
成熟しいっそうでき上がった人間として僕は君たちに逢いに行き、かわらぬ友情をさらに....