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我にもあらず
「我にもあらず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
我にもあらずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
」と答う、余は無言の儘に彼れを据らせ其傷を検むるに成るほど血の出る割には太した怪
我にもあらず、爾れど左の頬を耳より口まで引抓れたる者にして処々に肉さえ露出たれば....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
した。 喬生は月のひかりで窺うと、女はまことに国色ともいうべき美人であるので、
我にもあらず浮かれ出して、そのあとを追ってゆくと、女もやがてそれを覚ったらしく、....
「泣虫小僧」より 著者:林芙美子
きい声を振りあげて読んだ。 「……怒りと失望と後悔とに身も魂もくだけ果てた王は、
我にもあらず荒野の末にさまよい出た。その夜は風雨にともなって雷鳴電光ものすさまじ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
も分りはせぬ。 ト続いて、颯と影がさして、横繁吹に乗ったようにさらりと落ちる。
我にもあらず、またもやそれを拾った時、先のを、 「一枚、」 と思わず算えた。 ....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
ようとなさいますか。ああ、そんな事はとてもない!」 彼はこの推測の至当なのに、
我にもあらず、屈服するように見えた。が、強いてその感情を抑えながら云った。「お前....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
中へ額を着けて、夜の明くるのをただ、一刻千秋の思で待構えまする内に疲れたせいか、
我にもあらずそろそろと睡みましたと見えて、目が覚めると、月の夜は変り、山の端に晴....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
もせず、手は忘れたもののようにお雪がするままに任せていた。 両人が姿を見ると、
我にもあらず、理学士が肉は動いたのである。 五十四 しばらくする....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
と言うと、一目|凝と見た目を瞑って、黒髪をさげて俯向いたんです。 顔を背けて、
我にもあらず、縁に腰を落した内に、貴婦人が草鞋を結んだ。 堪らなくなって、飛出....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
をめぐらしつつも、彼の勇気は少しも衰えなかった。しかし彼の頭脳は疲れてきた。彼は
我にもあらず、他の事を、まったく関係のない種々のことを、考え初めた。
顳※《こ....
「朝顔日記の深雪と淀君」より 著者:上村松園
と書かれた扇を手文庫から出して人知れず愛着の思いを舒べているところに跫音がして、
我にもあらず、その扇を小脇に匿した、という刹那のところを一度描いたことがあります....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
一ツ土に脱いで、片足はしなやかに、草に曲げているのである。 前を通ろうとして、
我にもあらず立淀んだ。散策子は、下衆儕と賭物して、鬼が出る宇治橋の夕暮を、唯一騎....
「米」より 著者:犬田卯
得なかった。――また母から借りたに相違ない。――そう口に出して言うと、彼女の足は
我にもあらずそこへ釘づけになった。十五叺手に入れたとすれば、どんなことをしても百....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
と、フト目の前に太く大なる脚、向脛のあたりスクスクと毛の生えたるが、ぬいとあり。
我にもあらず崖を一なだれにころげ落ちて、我家の背戸に倒れ込む。そこにて吻と呼吸し....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
れる数ではないから、止むことを得ず、思い切って気の進まないのを元の処へ引返すと、
我にもあらずおずおずして、差俯向いて、姫と、師と、その夫人とおわす縁側へ行って、....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
見る時なぞ、何となくそのさびれ果てた周囲の光景が私の感情に調和して少時《しばし》
我にもあらず立去りがたいような心持をさせる。そういう無用な感慨に打たれるのが何よ....