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我に返る
「我に返る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
我に返るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「落穴と振子」より 著者:佐々木直次郎
に心臓へ集まった。そして少しのあいだ、私はもう一度無感覚の状態にあともどりした。
我に返るとすぐ、全身の繊維が痙攣的に震えながらも、すっと立ち上がった。頭の上や身....
「早すぎる埋葬」より 著者:佐々木直次郎
偏っていたことからと、――前にもちょっと言ったように睡眠から覚めたのち長いあいだ
我に返るのが、ことに記憶力を回復するのが、困難なことから、自然に起ったことであっ....
「香水紳士」より 著者:大阪圭吉
見えだした。 「そうだ、もう、そろそろ荷物を下して置かなければならない」 急に
我に返ると、クルミさんは、思い切って、静かに立ちあがった。手足がガタガタふるえて....
「或る女の手記」より 著者:豊島与志雄
が向うへはいってしまってから、私はとうとう其処につっ伏してしまった。 私が漸く
我に返ると、お母さんは心配そうに私の顔を覗き込んでいられた。和尚さんも其処に坐っ....
「神棚」より 著者:豊島与志雄
、長い間我を忘れて考え込んでいた。 何だかあたりがざわざわするようなので、ふと
我に返ると、丁度写真の代り目の休憩時間だった。四五人の者が喫煙所へはいって来た。....
「阿亀」より 著者:豊島与志雄
こにこっと笑った。 「おい、何を独りで笑ってるんだい。」 木谷に声をかけられて
我に返ると、頬に笑いが上ってくるのがはっきり意識された。 「はははは……。」 ....
「黒点」より 著者:豊島与志雄
ど無意識だった。 円い腰掛、真白な冷い卓子、黒ずんだ植木、それらを意識しだして
我に返ると、私は喫驚してしまった。胸をどきつかせながら空想していたようなものは何....
「幻覚記」より 著者:豊島与志雄
向いて見ることも出来なかった。心身とも甘美な恍惚状態にあったのである。 やがて
我に返ると、私の眼の正面には、燦然と黄金色に輝く夕陽が宙にかかっていた。私は眼を....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
おしに酒を飲んだ。クリストフは豚料理と煙草のむかむかする匂《にお》いの中で、突然
我に返ることがあった。そして昏迷《こんめい》した眼であたりの人々を見回した。もは....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
って降りる。そして、小さな勘定台の二つある、みすぼらしい、小さな店の中で、諸君は
我に返る。そこでは、この上もなく年をとった人たちが、諸君の小切手をちょうど風がそ....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
うとする瞬間がありはしませんか。やりかけようとする瞬間にたいがい気がついて、すぐ
我に返るから、それだけの話ですが、それが長くつづく状態が病人で、時間の差があるだ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の途切るる時、ハッと皆、ここにあるもの八九人、一時に呼吸を返したように、お夏の、
我に返る気勢を感じた。 「ああ、熱、」 驚破と二人。 「何て暑いんでしょう、私....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
る。 五助、作平は左右より、焦って二ツ三ツ背中をくらわすと、杉はアッといって、
我に返ると同時に、 「おいらんが、遊女が、」と切なそうにいった。 半纏はお若が....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
彼女は顔をほてらせて、凝とダイヤを見ているうちに、何だか頭がぼうッとした。ふと
我に返るとはッとして、また考えた。そんな無茶なことをしてどうする? 到底それだけ....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
は夢みているようにぽかんとして、ただ呼吸をきって喘えいでいました、が、急にはっと
我に返ると、疾風のように庭へ馳け降りました、しかし、後頭部をしたたか打った彼は已....