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「戛然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

戛然の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いのなぞがその陳述によって解きあかされましたものでしたから、右門の全能力はここに戛然《かつぜん》と音を発せんばかりに奮い起こりました。第一はその侠気《おとこぎ》....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
く七子《ななこ》の蓋《ふた》を盛り上げている。 右手を伸《の》べて、輝くものを戛然《かつぜん》と鳴らすよと思う間《ま》に、掌《たなごころ》より滑る鎖が、やおら....
薤露行」より 著者:夏目漱石
いいながら挙げたる手をはたと落す。かの腕輪は再びきらめいて、玉と玉と撃てる音か、戛然《かつぜん》と瞬時の響きを起す。 「命は長き賜物ぞ、恋は命よりも長き賜物ぞ。....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
と共に余は「キャッ」と叫び目を塞いで退いた、是が退かずに居られようか、袋の中から戛然《かつぜん》の音と共に散乱して溢れ出たのは目を衝く様な無数の光る物である、薄....
婦系図」より 著者:泉鏡花
健在なれ、御身等、今若、牛若、生立てよ、と窃に河野の一門を呪って、主税は袂から戛然と音する松の葉を投げて、足|疾くその前を通り過ぎた。 ふと例の煙草屋の金歯....
越後の闘牛」より 著者:佐藤垢石
端に、わが牛の鼻を抑えていた飼主は呼吸をはかって互いに鼻糜を抜いた。鼻糜を抜くや戛然たる響きが見物席へ伝わった。火を発するのではないかと思った。角と角と力相|搏....
式部小路」より 著者:泉鏡花
浅い底に、その銀の平打の簪が映って、流が糸のようにかかるごとに、小石と相撃って、戛然として響くかと、伸びつ、縮みつする。が、娘はあえて、過って、これを遺失したも....
活人形」より 著者:泉鏡花
! と下す。さしったりと身を交せば、狙い外れて発奮を打ち路傍の岩を真二つ。石鉄|戛然火花を散らしぬ。こはかの悪僕八蔵が、泰助に尾し来りて、十分油断したるを計り、....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
び交わした。 ――だがもう、鷲に追いつめられた隼だった。つきまとう木剣の下に、戛然と、槍が折れた。せつな、五郎次の魂がその肉体から、無理に※ぎ離されたような呻....
三国志」より 著者:吉川英治
の首を授けてたまるか」 「あきらめの悪いやつが」 「待てっ、張飛」 「待たん!」戛然と、二度目の剣が、空間に鳴った。 斬り損ねたのである。 誰か、うしろから....
三国志」より 著者:吉川英治
しく怒った。 はやくも彼のくりのばした魚骨鎗は、ひらりと関羽の長髯をかすめた。戛然――。関羽の偃月の柄と交叉して、いずれかが折れたかと思われた。逸駿赤兎馬は、....
三国志」より 著者:吉川英治
と、跳び上がったが、その叫びも終らないうちに、後ろにまわっていた武士の手から、戛然、大剣は鳴って、その首すじへ振り落された。つづいて、逃げようとした蔡瑁の首も....
三国志」より 著者:吉川英治
坐れッ」 と大喝した。 ※徳は黙って、地に坐った。その首を前へのばすや否や、戛然、剣は彼の頸を断った。 雨はやんでも、洪水は容易に減水を示さなかった。※徳....
三国志」より 著者:吉川英治
を知らぬか。――それっ、この通り殺してやる」 「あっ?」 振り向いた頭上から、戛然、一|閃の白刃がおりてきた。どうかわす間も受ける間もない。魏延の首は血煙を噴....