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「戦く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

戦くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
ように着せかける。 「やあ、これは、これはどうも。」 と骨も砕くる背に被いで、戦くばかり身を揉むと、 「意地が悪いわ、突張るんだもの。あら、憎らしいわねえ。」....
クララの出家」より 著者:有島武郎
けた。そう思って彼女は何とかせねばならぬと悶えながらも何んにもしないでいた。慌て戦く心は潮のように荒れ狂いながら青年の方に押寄せた。クララはやがてかのしなやかな....
ある抗議書」より 著者:菊池寛
。その当時から、足掛五年になる只今も私はその光景を思い出すごとに、胸が裂け四肢の戦くような、恐ろしさと忿とを感ぜずには居られないのです。 司法大臣閣下。――閣....
薬草取」より 著者:泉鏡花
、少し頬を傾けると、髪がそちらへはらはらとなるのを、密と押える手に、簪を抜いて、戦く医学生の襟に挟んで、恍惚したが、瞳が動き、 「ああ、お可懐い。思うお方の御病....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
里に落ちます清水の、麓に玉散る石を噛んで、この歯音せよ、この舌歌へ、と念じても、戦くばかりで声が出ない。 うわの空で居たせいか、一日、山|路で怪我をして、足を....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
まだ。」 「情ない事おっしゃいます、辛うて辛うてなりませんもの。」 とやっぱり戦く。その姿、あわれに寂しく、生々とした白魚の亡者に似ている。 「もっともな、わ....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
う事いの。腹から割かっしゃるか、それとも背から解くかの、」と何と、ひたわななきに戦く、猟夫の手に庖丁を渡して、「えい、それ。」媼が、女の両脚を餅のように下へ引く....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
飛着くように、小宮山の帯に縋り、身を引緊めるようにして、坐った膝に突伏しまする。戦く背中を小宮山はしっかと抱いた、様子は見届けたのでありまするから、哀れさもまた....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
案内をして、やがて三由屋の女中が、見えなくなるが疾いか、ものをいうよりはまず唇の戦くまで、不義ではあるが思う同士。目を見交したばかりで、かねて算した通り、一先ず....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
躍って、圧えた乳房重いよう、忌わしい夢から覚めた。――浦子は、独り蚊帳の裡。身の戦くのがまだ留まねば、腕を組違えにしっかと両の肩を抱いた、腋の下から脈を打って、....
黒百合」より 著者:泉鏡花
べて、抱こうとしたが、触れば消失せるであろうと思って、悚然として膝に置いたが、打戦く。 「遅くなりまして済みませんでした、拓さん。」 と判然、それも一言ごとに....
星女郎」より 著者:泉鏡花
につけて、とこう言う内に、追って来て妨しょう。早く助けずば、と急心に赫となって、戦く膝を支いて、ぐい、と手を懸ける、とぐったりした腕が柔かに動いて、脇明を辷った....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
そして更に永遠なるものを呼吸しているのである。この時の静寂の深刻さはそこにある。戦く心を抑え切って、じっとして、その淵の底を窺うものの目には、すべての情意、すべ....
活人形」より 著者:泉鏡花
り、虐殺にしてやるのだ。可いか、それでも可いか。これと、肩を押えてゆすぶれば、打戦くのみ答は無し。「それからまだある。この男と、お前と、情死をした様にして死恥を....
名もなき草」より 著者:小川未明
名も知らない草に咲く、一茎の花は、無条件に美しいものである。日の光りに照らされて、鮮紅に、心臓のごとく戦くのを見ても、また微風に吹かれて、羞らうごとく揺らぐのを見ても、かぎりない、美....