戦傷[語句情報] »
戦傷
「戦傷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
戦傷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「さようなら」より 著者:田中英光
も狂信的な愛国主義者になり切ったものがいたが、そんな青年たちでさえ、助かる程度の
戦傷を受けた際は勇ましく、「天皇陛下万歳」を叫び、瀕死の重傷の場合は弱々しく、「....
「廃墟から」より 著者:原民喜
でものを云う、しかし、賢そうな少女がいた。彼女も恐らく助かってはいないであろう。
戦傷保険のことで、よく事務室に姿を現していた、七十すぎの老人があった。この老人は....
「キュリー夫人」より 著者:宮本百合子
。そのようにして集められた車は二十台あった。マリアはその一台を自分の専用にした。
戦傷者で溢れた野戦病院から、放射線治療班の救援を求める通知がキュリー夫人宛にとど....
「世界の寡婦」より 著者:宮本百合子
ようにドイツ民族を殺しつつあることを知るのをおそれたのであった。日本でも、戦争中
戦傷者の発表が奇妙な形で行われた。だんだん小きざみに、部分的に、私たちには総数が....
「便乗の図絵」より 著者:宮本百合子
に対して、日本の人民の戦争責任者追及は、むしろ寛大すぎるとさえいえる。二十万人の
戦傷不具者・二十万人以上の戦争未亡人、数しれない戦災者たちは、ひきちぎられ、根こ....
「新しい潮」より 著者:宮本百合子
ろで、東條英機の家族は、あしたのたつきにこまりはしない。三十余万の寡婦と十余万の
戦傷不具者の苦しみと孤児の人生は、彼らのところにはない。とくに日本では、あれらの....
「国宝」より 著者:宮本百合子
何と「赤紙一枚」を思わせるだろう。きょうの辛さに喘いでいる数十万の未亡人、孤児、
戦傷者たちは、かつてはすべて護国の宝であったのだ。法隆寺の例にむきだされた行政官....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
もいうな、杉田。川上は、そんなことをなんとも思っちゃいないぞ。敵と闘って、名誉の
戦傷を負った貴様じゃないか。普通なら、病院船の軟らかいベッドの上に横たわって、故....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ら)一冊あの本(あなたのおっしゃっていたの)を出したきりの由。その本というのは、
戦傷して腰から下が全く失われた人に同情して嫁した看護婦の人の手記なのですって。そ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
方が安全ね。 三月二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 都鳥英喜筆「
戦傷士の俤」の絵はがき)〕 『衛生学』はもう十一月頃出版されていてそれを只今本屋....
「巷談師」より 著者:坂口安吾
じているのかも知れない。 私は彼を見直した。工場でうけた傷でも、こんな時には、
戦傷にするのが人情だ。見知らぬ私をひきいれて、駄ボラを吹いている最中だからである....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
あった。 この人は、中尉か大尉かのころに日露戦争に従軍して、ほとんど失明に近い
戦傷を負うた人であるが、その後、臨済禅にこって一かどの修行をつみ、世にいうところ....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
を飲みながら呆れ顔でいった。 「ピカッと光った一瞬に、第二総軍だけで戦死が八万に
戦傷が二十万……日露戦争の二年間の全損害より多い犠牲者を出しているのに、新爆弾お....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
行の支度をしようと思って町へ買物に出ると、町かどの電柱に、脇坂《わきざか》部隊の
戦傷勇士佐伯軍曹が、本町有志の熱心な懇請《こんせい》によって、今日午後一時から処....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
しい怒りの爆発だったのかもしれない。 おりもおり、日露の役に出征していた次兄が
戦傷がもとで病死、同年輩の知人が常陸丸で戦死したことなどをきくと、私の若い血も躍....