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戦利品
「戦利品〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
戦利品の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
陳はただじっと妻の顔を見ながら、考え深そうにこんな事を云った。
「これは皆お前の
戦利品だね。大事にしなくちゃ済まないよ。」
すると房子は夕明りの中に、もう一度....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
方がない。
保吉はとうとう小径伝いに玄関《げんかん》の前の広場へ出た。そこには
戦利品の大砲が二門、松や笹の中に並んでいる。ちょいと砲身に耳を当てて見たら、何だ....
「アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
くたん》のように真っ黒な床、歩くにつれてがたがた音をたてる幻影のような紋章付きの
戦利品などが、自分の幼少のころから見慣れていたもの、あるいはそれに類したものであ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
い得るものの凡てを奪い取ろうとする。愛は手近い所からその事業を始めて、右往左往に
戦利品を運び帰る。個性が強烈であればある程、愛の活動もまた目ざましい。若し私が愛....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
ケットへつきこんだ指先に、カチリと硬い物が当ったので、私は思いだした。 「おい、
戦利品だ」私は、帆村の脇腹をつついて置いてから例の男の上衣から失敬したものを、卓....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
萌《も》え出していて、その向こうに見えてる小さな丘の頂には、鎗《やり》先に貫いた
戦利品のように、ロマン式の古城がそびえていた。ごくやさしい青色の空には、まっ黒な....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
んでいた。トリスタンの前奏曲では息絶えんばかりになった。英雄交響曲では、あたかも
戦利品のように自分が運び去られるのを楽しんだ。ベートーヴェンが聾で唖だったことを....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
格なる規律を課し、そして戦場においては、打倒されてる敵の遺物のうちから、おのれの
戦利品を正確に選み取り持ち去ることを知っている、それらラテン精神の統制的威力――....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の上に、野卑な文句が投げつけられる。できる限りたくさんの人を積んでるその馬車は、
戦利品のようなありさまに見える。前部は喧騒《けんそう》をきわめ、後部は混雑をきわ....
「餅のタタリ」より 著者:坂口安吾
つらないうちに、道具一式おき忘れて逃げちまやがった。いい気味だ」 そこで平吉は
戦利品を屋内へ持ち帰って、 「これを取りあげちまえば、もう今晩は盗みができない。....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
うことと万引とは、結局同じことにすぎないのに、そこは病人のことで、万引は又特別、
戦利品というような快感があるらしい。貧故の万引とちがって、金持の万引は完全な病癖....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
名彫刻を見て人間の偉大な一面を感じました。其の内には随分沢山のものがナポレオンの
戦利品だそうです。こんな立派な品々を力ずくで他国から取って来た勝利者の乱暴さにあ....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
山の人間が此処で命を失ったことか。 感慨に耽らざるを得なかったよ。 旅順では
戦利品記念館をも見た。籠城していた露国の将卒が恐怖や不安の為めに発狂し、その狂人....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ン・アントニオは、かねてよりポーランドの王冠の権利を主張している人である。激情、
戦利品、名誉、そんな夢があらゆる武人の胸を掻きたてた。エセックスもまたその仲間の....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
た。
ヘレネ
それでも直にこの城の取締の女中にせられて、
城をも、切角の
戦利品をも、お預になったのね。
闇の女
それはあなたが棄て置いて、塔で囲....