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「戦塵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

戦塵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
本橋《にほんばし》の釘店《くぎだな》にある葉子の家には七八人の若い従軍記者がまだ戦塵《せんじん》の抜けきらないようなふうをして集まって来た。十九でいながら十七に....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
武威を振い出した。 十六歳の時から桶狭間合戦の二十七歳までは席の安まる間もなく戦塵をあびて、自らの地盤を確保するに余念がなかった。 元来織田氏の一族は屋張一....
小田原陣」より 著者:菊池寛
り、敵を退屈させて勝つことが出来たと言った。秀吉も此の言を嘉納し、ここに小田原は戦塵の中にあって歓楽場に変ったのである。 東西南北に小路を割り、広大な書院や数....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ら、半蔵は両国橋の往き還りに筑波山を望むようになった。関東の平野の空がなんとなく戦塵におおわれて来たことは、それだけでも役人たちの心を奪い、お役所の事務を滞らせ....
縮図」より 著者:徳田秋声
たが、次第にそれが深くなって冷気が肌に迫って来た。その辺でもどうかすると、ひどく戦塵に汚れ窶れた傷病兵の出迎えがあり、乗客の目を傷ましめたが、均平もこの民族の発....
明日の知性」より 著者:宮本百合子
「戦士のあいだを旅して」という旅行記をニューヨークから出版した。それがさいきん「戦塵の旅」という題で、ソヴェト同盟旅行の部分だけ翻訳出版された。一九四一年十一月....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
「そら御輿がお通りになる、頭をさげい、ああおやせましましたこと、一天万乗の御君が戦塵にまみれて山また山、谷また谷、北に南に御さすらいなさる。ああおそれ多いことじ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、天子の都も、今は兵馬倥偬《へいばこうそう》の塵に汚れていると聞きました、その戦塵の中へ、かよわいかたわ者のわたくしが参ってみたとて何になりましょう。それなら....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
広いのでございますから、未開墾の地も到るところにございましょう、兵馬の到らない、戦塵の飛ばない、平和な地に根を卸《おろ》して、そこに耕して生きて行く分には、何人....
丹下左膳」より 著者:林不忘
殺するにたる凄壮な闘意が、烟霧のようにみなぎって地を這いだした。 闇黒をこめる戦塵……。 その刃渦《じんか》の底をすこしく離れた木かげに隠れて、さっきからこ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
どろき、パリー街衢《がいく》に交差する銃火と砲火、屋根の上に立ち上ってゆく金色の戦塵《せんじん》、恐ろしげな遠い一種の叫喚の声、至る所を脅かす電光、今やすすりな....
エキゾチックな港街」より 著者:小野佐世男
養い、戦場に送り込む方式になっていたし、又、戦地で戦った軍人達が一度このところで戦塵を洗い落して行くという、しごくよろしい方式になっておりましたが、米本国の婦人....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
せいらんさっさつ》として生気躍動するを見る。皆は幾度か立ち止まっては深呼吸をして戦塵を吐き出した。五体一呼吸ごとに清浄となりゆくを覚える。木場郷藤ノ尾の一軒家を....
イエスキリストの友誼」より 著者:新渡戸稲造
のことを思い起した。一人は老人で一人は青年であった。若い男は血気にはやって遂に、戦塵一滴の露と消え、老人は衰弱のため既にこの世を辞してしまった。見渡せば水勢蕩々....
三国志」より 著者:吉川英治
よせ、ぱっと腰を鞍上へ移すや否、漆黒の髯は面から二つに分かれて風を起し、たちまち戦塵のなかへ姿を没してしまった。 関羽の揮う青龍刀の向うところ、万丈の血けむり....