戸惑う[語句情報] » 戸惑う

「戸惑う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

戸惑うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
のものと思うだけだった。ただ、しゅくしゅく鳴きながら苦しみを訴える鹿の眼の懸命に戸惑う瞳の閃きに一点の偽りもないのを見ると掻き抱いてやり度いようだった。 男は....
職工と微笑」より 著者:松永延造
校であらしめよ。 之で宜敷い! 凡ては語られたのである。だが其れは無秩序な舌、戸惑うた記憶力、紛乱せる思考力を以てである。ああ何が語られたと云うのか? 私は未....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
も早く通信を始めて下さい。わたし達もお手伝いしましょう」 そこで二人はしばらく戸惑うようにしていたが、やがて波の音にせき立てられるように、そわそわと降りて行っ....
食魔」より 著者:岡本かの子
郎が美貌であることは最初から頓着しないようだった。姉娘のお千代の方が顔を赭めたり戸惑う様子を見せた。 鼈四郎は絹に向うと、われならなくに一層|肩肘を張り、高飛....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
中も眼中にないありさま、 二つの世にかけてこれ以上の勇者があったか? 105戸惑うわれらをのせてめぐる宇宙は、 たとえてみれば幻の走馬燈だ。 日の燈火を中に....
鬼涙村」より 著者:牧野信一
郎ども、たしかに顔は知れてるぞなどと叫びながら、どっちを追って好《い》いのやらと戸惑うた万豊が八方に向って夢中で虚空を掴《つか》みながら暴《あば》れ出た。万豊の....
華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
近づいて来た。頬笑みながら、コケティッシュなまなざしを蓬莱建介におくる彼女。彼は戸惑うた。彼は南原杉子とわかっていても、舞台にいる人をジャズシンガーと思っている....
未亡人」より 著者:豊島与志雄
っくりして、返事につまったようでした。誰だって、だしぬけにそんなことを言われたら戸惑うでしょうよ。 「ほんとに勉強して下さるわね。」 あなたは畳みかけてそう言....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
で、洋食屋だの鮨屋からおいしそうな食物をとりよせてくる。病気になるとオロオロして戸惑うほど心痛する。私に美しい着物をきせるために艱難辛苦を意とせぬ代り、私の外出....
桐生通信」より 著者:坂口安吾
旅の出発直前に雪国の冬の暗さについて書いたばかりであったから、約束の違う明るさに戸惑うのも当然で、オレの心にしみこんでいた雪国、オレが今まで考えなれていた雪国は....
裏切り」より 著者:坂口安吾
。私はもう五十五のオイボレだし、あなたはこれからという人生じゃないか。若いうちは戸惑うことがありがちで変テコなことを思いつくのはフシギではないかも知れないが、し....
砂をかむ」より 著者:坂口安吾
砂をかむ 坂口安吾 五十ちかい年になってはじめて子ができるというのは戸惑うものである。できるべくしてできたというのと感じがちがって、ありうべからざる....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
姿が、なにか、不可思議なものに見えてきた。気は晦み、眼は汗にかすんで、味方の血に戸惑うてくるにつれ、武蔵の姿が、いよいよ、捉え難くなり、しまいには、なにか真っ赤....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
る。わっと、総立ちになったのは甲比丹の三次をはじめ荷抜屋の誰彼、脇差を閃かす者、戸惑う者、かけこんで錆鎗を押っ取る者。据物斬りの見物が、意外な血をみずから見るこ....
三国志」より 著者:吉川英治
苦しげに云い抜けると、曹操は開口一番、限りもなく大笑した。 「わははは、何を戸惑うて。――これ両人、きょうは古の鴻門の会ではないぞ。いずくんぞ項荘、項伯を用....