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「戸袋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

戸袋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
は植木鉢を置きたるに、猶《なお》表側の見付《みつき》を見れば入口の庇《ひさし》、戸袋、板目なぞも狭き処《ところ》を皆それぞれに意匠《いしょう》して網代《あじろ》....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いてみようと燥《あせ》ったが、何分にも戸締まりが厳重に出来ている上に、長い縁側の戸袋《とぶくろ》は遠いところにあるので、そこまで這って行って雨戸を繰り明けるのは....
婦系図」より 著者:泉鏡花
で、歴然と映っている。 姿見の前に、長椅子一脚、広縁だから、十分に余裕がある。戸袋と向合った壁に、棚を釣って、香水、香油、白粉の類、花瓶まじりに、ブラッシ、櫛....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
京町の角の方から、水道尻の方へ、やがて、暗い処へ入って隠れたのは、障子の陰か、戸袋の背後になったらしい。 遣手です、風が、大引前を見廻ったろう。 それが見....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
《ガラス》戸をあけて、長い廊下を箒《ほうき》でさらさらと掃《は》き出し、それから戸袋のところへ行って板戸を一枚一枚繰り出し始めたのである。そのとき勝手の方で電話....
時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
てそれからというものは、市民たちは暗いうちに起きて、慄えながら戸口に佇み、新聞が戸袋の間から投げ込まれると、何よりも先ず、その日の紙面に、金博士の広告文がのって....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
なわち少年が、御身に毒を飲ませたのだ。」 「…………」 「別でない。それそれその戸袋に載った朱泥の水差、それに汲んだは井戸の水じゃが、久しい埋井じゃに因って、水....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
も落着いて、カチンとせんを、カタカタとさるを抜いた、戸締り厳重な雨戸を一枚。半ば戸袋へするりと開けると、雪ならぬ夜の白砂、広庭一面、薄雲の影を宿して、屋根を越し....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
、庭の草※りをするついでに、石蒜の生える場所を綺麗に掃除をしておいた。濡縁の横の戸袋の前に南天の株が植えてある。その南天の根方である。おもうにはじめ南天を移しう....
月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
みると、思ったよりも狭い裏で、突当りにたった一軒の小さい家があるばかりだが、その戸袋の上にかし家の札を貼ってあるので、かれはここの家に相違ないと思った。このころ....
おせん」より 著者:邦枝完二
らお速く」 「ええもういらぬお接介。――」 おおかた、縁から上手へ一|段降りて戸袋の蔭には既に盥が用意されて、釜で沸した行水の湯が、かるい渦を巻いているのであ....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
しました通り、然るべき仏壇の用意もありません。勿体なくありません限り、床の間か、戸袋の上へでもお据え申そうと思いますから、かたがた草双紙|風俗にとお願い申したほ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
をする前に、それでも自分で立って、台所の戸障子を閉めて、四辺を見たから、その時は戸袋へ附着いて、色ッぽい新造の目を遣過しておいて、閉めて入ったことを、破れた透間....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
を掲げた、つい前もお祭り気分の運送屋、 毛糸があります と、貼り紙した店の横の雨戸袋。 ぞろぞろと汽車から下りる、またプラットフォムを駈けて来る。茄子とトマト....
春泥」より 著者:久保田万太郎
いうのでこれが一時間ばかり。――体はわるくってもいうことは元気で、仲の町の茶屋の戸袋へれい/\しく売家の札を貼ったといって腹を立てたり、歌舞伎座から乗った自動車....