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戸障子
「戸障子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
戸障子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
落としてしんみりと物をいう様子にはおのずからな気高《けだか》いさびしみがあった。
戸障子をきしませながら雪を吹きまく戸外の荒々しい自然の姿に比べてはことさらそれが....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
寄った。 一間住居というのは座敷牢である。武家で手にあまる道楽者などがあると、
戸障子《としょうじ》を釘づけにした暗いひと間をあらかじめ作っておいて、親類一同が....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
の山家《やまが》の前へ来たのには、さまで難儀《なんぎ》は感じなかった。夏のことで
戸障子のしまりもせず、殊《こと》に一軒家、あけ開いたなり門というてもない、突然《....
「春昼」より 著者:泉鏡花
も、何かそれらしい音はしたが、極めて散漫で、何の声とも纏まらない。村々の蔀、柱、
戸障子、勝手道具などが、日永に退屈して、のびを打ち、欠伸をする気勢かと思った。い....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
た跳飛ぶ内、ドンドンドンドンと天井を下から上へ打抜くと、がらがらと棟木が外れる、
戸障子が鳴響く、地震だ、と突伏したが、それなり寂として、静になって、風の音もしな....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
、鼬が笛を吹くのかと思った。……人通り全然なし。 片側は、右のその物置に、ただ
戸障子を繋合わせた小家続き。で、一二軒、八百屋、駄菓子屋の店は見えたが、鴉も居ら....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
一 如月のはじめから三月の末へかけて、まだしっとりと春雨にならぬ間を、毎日のように風が続いた。北も南も吹荒んで、
戸障子を煽つ、柱を揺ぶる、屋根を鳴らす、物干棹を刎飛ばす――荒磯や、奥山家、都会....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
と此方を垣したる、透間少し有りたる中より、奮発みたる鞠のごとく、衝と潜り出でて、
戸障子に打衝る音|凄じく、室の内に躍り込むよと見えし、くるくると舞いて四隅の壁に....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
が、人気勢のする破障子を、及腰に差覗くと、目よりも先に鼻を撲った、このふきぬけの
戸障子にも似ず、したたかな酒の香である。 酒ぎらいな紳士は眉をひそめて、手巾で....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
っぱりお好きではねえでがすな。奥にいた女中は、蛇がと聞いただけでアレソレ打騒いで
戸障子へ当っただよ。 私先ず庭口から入って、其処さ縁側で案内して、それから台所....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
菓子を買われた時、嬉しそうに莞爾して、酌をする前に、それでも自分で立って、台所の
戸障子を閉めて、四辺を見たから、その時は戸袋へ附着いて、色ッぽい新造の目を遣過し....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
ぼそい遊女の責殺された幻が裏階子に彳んだり、火の車を引いて鬼が駆けたり、真夜中の
戸障子が縁の方から、幾重にも、おのずからスッと開いて、青い坊さんが入って来たりす....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
さると、上下一度にがッくりと歯が抜けた気と一所に、内がポカンと穴のように見えて、
戸障子も、どんでん返し――ばたばたと、何ですかね、台所の板の間を隔ての、一枚|破....
「わが母を語る」より 著者:上村松園
でかいてあります。正月の松の内など、店も表戸をしめて休みますが、その頃は出入口の
戸障子に、酒屋なら「酒」お茶屋なら「茶」と大文字でかいてあったものですが、母は、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
として部屋並べり。大方は雨漏に朽ち腐れて、柱ばかり参差と立ち、畳は破れ天井裂け、
戸障子も無き部屋どもの、昔はさこそと偲ばるるが一い二ウ三いと数うるに勝えず。遥か....