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「戻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
戻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
仲裁役を勤めるものは必ず看護婦の甲野だった。甲野は顔を赤めたお鈴を一生懸命に押し
戻しながら、いつももう一人の人間の、――じっとこの騒ぎを聞いている玄鶴の心もちを....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
げて、一つ御承諾を。」
鼠小僧はここに至って、たちまちまた元の原稿の催促へ舞い
戻った。が、この慣用手段に慣れている馬琴は依然として承知しない。のみならず、彼は....
「影」より 著者:芥川竜之介
―それは神経衰弱に違いないさ。よろしい。さようなら。」
陳は受話器を元の位置に
戻すと、なぜか顔を曇らせながら、肥った指に燐寸《マッチ》を摺《す》って、啣えてい....
「彼」より 著者:芥川竜之介
もあれは旺盛《おうせい》すぎてね。」
僕はもう一度一生懸命に沈み勝ちな話を引き
戻した。
「この間《あいだ》Kが見舞いに来たってね。」
「ああ、日帰りでやって来....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
三郎はもどかしそうに、「高《たか》が四文のはした銭《ぜに》ではございませんか。御
戻りになるがものはございますまい。」と云って、一刻も早く鼻の先の祥光院まで行って....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
た。と云うよりも袈裟を辱《はずかし》めた。そうして今、己の最初に出した疑問へ立ち
戻ると、――いや、己が袈裟を愛しているかどうかなどと云う事は、いくら己自身に対し....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
《わしょう》の首は口惜《くや》しそうに牙《きば》を噛《か》み噛み、もとの体へ舞い
戻ろうとした。この不思議を見た桂月香《けいげつこう》は裳《もすそ》の中へ手をやる....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
山は彼の方を見ずに、金格子《かねごうし》で囲《かこ》った本立てへ、大きな簿記帳を
戻していた。
「じゃ今向うからかかって来ましたぜ。お美津さんが奥へそう云いに行っ....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
影を口惜しそうに見つめていました。 「折角御嬢さんの在りかをつきとめながら、とり
戻すことが出来ないのは残念だな。一そ警察へ訴えようか? いや、いや、支那の警察が....
「狂女」より 著者:秋田滋
ィルの森のほうを指して次第に遠ざかって行った。 二時間ばかりたつと、兵士だけが
戻って来た。 以来、二度と再びその狂女を見かけた者はなかった。兵士たちはあの女....
「墓」より 著者:秋田滋
員は合議をするために法廷を出て行った。 それから数分たって、陪審員が再び法廷に
戻って来た時には、被告はいささかも悪びれる容子はなく、無念無想、もはや何事も考え....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
を誦するともなく謡うともなくうめきながら欄干を撫でつつ歩むともなく彳むともなく立
戻おり居るに、往来の人はいぶかしみ、しばしば見かえりて何か詞をかけんとして思いか....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、器械室なり実験室なりから、これを講堂に持ちはこび、用が済めば奇麗にして元の所に
戻して置くこと。修理を要するような場合には、幹事に報告し、かつ色々の出来事は日記....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
みた。小鳥の心臓の皷動が、はっきりと手に感じられた。小鳥は温かだった。私は部屋に
戻った。小鳥を握る手に少し力を入れてみた。心臓の皷動は前より早くなった。少々残酷....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
何が目出たかべい……庄屋様、後生だわで、殿様がいやになったらいつでも遠慮なく家さ
戻って来るように言ってやってくれべい!」 と言って涙を留度なく流しました。....