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所の物
「所の物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
所の物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
たばかりだ。」――こんな問答を交換しながら、新蔵は眼をお敏から返して、まるで遠い
所の物でも見るように、うっとりと反対の側を眺めると、成程泰さんと母親とが、ほっと....
「まざあ・ぐうす」より 著者:北原白秋
にお足でべっちゃべっちゃ。 ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。 チイズは台
所の物置のおたなに、 きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。 ひと....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
配列が幾何学的に出来て居る様に思われる、鏡から鏡へ、反射又反射して、遠く離れた場
所の物影が写って見える、余り類のない仕組である、唯是だけでも主人が一通りの人でな....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
っている流星微塵環の中に所々に比重がよそより大きいところがあると、各環内の他の場
所の物質がだんだんそこへ集中してくるはずである。このようにして遊星や彗星ができた....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
てしまうのだ。それが一番安全だからね。――後三十分だ。君はこの屍体を守って、変電
所の物置の後で待っていて呉れ給え。忘れても声を立てちゃ駄目だぜ。相捧は喜多公なん....
「爛」より 著者:徳田秋声
いた。その懈さが骨の髄まで沁み拡がって行きそうであった。障子からさす日の光や、近
所の物音――お千代婆さんの話し声などの目や耳に入るのが、おそろしいようであった。....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
ではないだろうかと敢て考えるのである。 そこで、私が「科学小説」として要求する
所の物は現在行われている「科学小説」の三種類のうち何れに属する物であるか。幻奇小....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
入口の処であたりを見まわした。入口の扉に耳を寄せて徳市の足音を聴いた。そのまま近
所の物蔭へ隠れた。 徳市は屋根裏の室へ来た。ストーブに石炭を投げ込んで火をつけ....
「気むずかしやの見物」より 著者:宮本百合子
目では、ちゃんと、菓子売の勘蔵が、前もって予告した通りのことが、やや茶番じみた台
所の物音を先立てて起る。幕と幕とが切実な、新鮮な実感でつながれていなかったことが....
「彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
十一、妄に遊蕩せざる事。 十二、視力の好き事。一しょに往来を歩いていると、遠い
所の物は代りに見てくれる故、甚便利なり。 十三、絵や音楽にも趣味ある事。但しど....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
、一々付けて置きましょう、今日が預り始めだ」 多「金は入らねえ、先ずこれだけは余
所の物を拾ったのじゃねえ、家の物を拾ったのだから、これは旦那様へ上げべえ、私が斯....
「純粋経済学要論」より 著者:手塚寿郎
しからしめる価格しかあり得ない事実があるからである。換言すれば、各人は自ら与える
所の物に比例して受けねばならないしまた受ける
所の物に比例して与えねばならないとい....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
く発砲して追い散らしている。その他、野獣のように本能的になった下層の移民達が到る
所の物陰に隠れて、女子供に先んじてボウトに飛び乗ろうと機会を狙っているのだ。低下....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
れる。で、彼はいつも満腹で、金持になって、六|号室に帰って来る。が、その携え帰る
所の物は、玄関でニキタに皆奪われてしまう。兵隊上りの小使のニキタは乱暴にも、隠を....
「痴人と死と」より 著者:ホーフマンスタールフーゴー・フォン
みへ引出して、余りはっきりした名を付けてしまったのだ。そして種々《いろいろ》な余
所の物事とそれを比べて見る。そうすると信用というものもなくなり、幸福の影が消えて....