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「扁桃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

扁桃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
一時を糊塗《こと》する訳にも行かなかった。 「あの女は看護婦でね、僕が去年の春|扁桃腺《へんとうせん》を煩《わずら》った時に――まあ、そんな事はどうでも好い、と....
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
し》で、風は四方八方から、小路という小路から彼を目がけて吹きつけた。たちまち彼は扁桃腺《へんとうせん》を冒されて、家へたどりつくなり、一言も口をきくどころか、全....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
らしい。金属製の器物が、棚にあたるような音がした。 と、月子の声がした。 「甘扁桃油、苦扁桃油、接骨木花水、沈降硫黄、そうして闇夜に絞り取った、売春婦の肝臓の....
縮図」より 著者:徳田秋声
どお盆少し前のことで、置き家では出先へのお配り物などで、忙しい最中に銀子の主人は扁桃腺で倒れ、二階に寝ていたが、かつては十四五人の抱えをおき、全盛をきわめていた....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
に神経を苛立たせなければならなかった。それに大抵年に一度か二度、胃腸の疾患とか、扁桃腺とかで倒れるのが例で、中学から上の学校へ入るのに、二年もつづいて試験の当日....
藤棚の陰から」より 著者:寺田寅彦
者は今でも捜せばいくらでも見つかりそうな気がするのである。 少なくも、むやみに扁桃腺を抜きたがる医者は今でもいくらもいるであろう。 十八 近年....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
は全くなくなっていた。そして、片手に持っている割れた薬びんと、空中に漂っている苦扁桃水の強い臭いとによって、アッタスンはそこに倒れているのが自殺者の死体であるこ....
エトナ」より 著者:野上豊一郎
山彙が変化の多い形貌で展開し、古い石造の家屋が密集したり、散在したりして、橄欖・扁桃・柘榴・ぬるで・いちじく等の果樹、或いは赤松・糸杉などの樹林が点綴し、葡萄が....
九条武子」より 著者:長谷川時雨
和三年一月十六日より歯痛、発熱は暮よりあった。十七日、磯辺病院へ入院、気管支炎も扁桃腺《へんとうせん》炎も回復したが、歯を抜いたあとの出血が止まらず、敗血症にな....
リラの手紙」より 著者:豊田三郎
、何となく重苦しい気持なので、熱を計ると、いつの間にか高い熱が出ていた。いつもの扁桃腺だと高を括っていると、翌朝は愈々苦しくなり、肺炎を惹き起していて、熱が四十....
寒中滞岳記」より 著者:野中至
果妻は十一月上旬に至り、甚《いた》く逆上し、ために平素往々|患《うれ》うる所の、扁桃腺炎《へんとうせんえん》を誘起し、体温上昇し咽喉《いんこう》腫《は》れ塞《ふ....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
される場合、特に白血病が起こりやすい。淋巴腺で変化のよくあらわれるのは、たとえば扁桃腺で、これが壊死に陥ることが多い。生殖腺に障害が起こり、性欲喪失、精虫欠乏、....
ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
晩も、おやすみにならないのですもの。 セレブリャコーフ ツルゲーネフは、痛風から扁桃腺が腫れたという話だ。わたしも、そうならなければいいが、まったく、年をとると....
イグアノドンの唄」より 著者:中谷宇吉郎
かし生き残った娘たちは、今はきわめて元気である。 この暮から正月にかけて、私は扁桃腺《へんとうせん》の除去と、蓄膿症《ちくのうしょう》の手術とのために、K病院....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
しめられて極度に体が弱る。フランクは彼の強壮剤で僕を力づけようとして僕の耳疾には扁桃油を用いてみた。しかし、オメデトウ! 何の効き目もなかった。耳はだんだん悪く....