扁額[語句情報] »
扁額
「扁額〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
扁額の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
。まず、顔の滴をはらう。それから、袖をしぼる。やっと、人心地がついた所で頭の上の
扁額《へんがく》を見ると、それには、山神廟《さんじんびょう》と云う三字があった。....
「申陽洞記」より 著者:田中貢太郎
をしていた。それは昨夜古廟の中で見た姿であった。石室の入口には「申陽之洞」という
扁額が懸っていた。李生は昨夜自分が矢を著けた三山の冠を着た妖怪は、この内にいるの....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
、室には文久元年、萩園主人千浪という人が、祝大外河美濃守という建物の由来を書いた
扁額がかけてあった。それと隣って、一段高く梯子段を上ったところに、浅間神社を勧請....
「蓮花公主」より 著者:田中貢太郎
賓主の礼を行った。礼がおわると席についた。そこには饗宴の筵が設けてあった。殿上の
扁額を見ると桂府としてあった。竇は恐縮してしまって何もいうことができなかった。王....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
、黒焼のものや、動物の肝や虫の干物など、さまざまだ。両方の欄間に向いあって漢文の
扁額が懸り、一つには、「其人ヲ看テ其病ヲ看ズ」とあり、一つには、「静ニ処シテ以テ....
「甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
来て、まだ瓶にも挿さず、縁側に置いてある椿の花を見たり、舞込んで来た蝶が、欄間の
扁額の縁へ止まったのを見たりしていたが、 「先生、勿論、私も従軍するのでしょうな....
「白光」より 著者:井上紅梅
ころか、なかなかどうして彼等自身で運び出す――家屋は面目を一新して門口には旗竿と
扁額……位が欲しければ京官となるもよし、金が欲しければ地方官となるがいい。……彼....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
にはそんなわけで、西岡医院開設当時に贈られた蒼海翁のあの雄勁な筆力を見せた大字の
扁額を持ち伝えていた。鶴見が幼い観察から、急傾斜になっている海面にひっくり返りも....
「柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
を見ろ」と云いながら老人は壁へ指を指した。洋風の壁へかかっているのは、純日本風の
扁額であった。墨痕淋漓匂うばかりに「紙鳶堂」と三字書かれてあった。 「形学を学ん....
「光は影を」より 著者:岸田国士
州ソバを食おうということになつた。 公園の昔の城門をそのまゝの、懐古園と書いた
扁額を仰ぎながら、京野等志は、ちよつと照れながら、嘯いた―― 「ねえ小萩さん、こ....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
普請《ふしん》だが住み荒らした庵のうち、方来居と書いた藤田東湖《ふじたとうこ》の
扁額《へんがく》の下で、玄鶯院がお盆をかむって新太郎をあやしている。 ひところ....
「食堂」より 著者:島崎藤村
りで何かうまいものをお母さんに御馳走しますかナ」 お三輪は椅子を離れて、木彫の
扁額の掛けてある下へも行って見た。新七に言わせると、その額も広瀬さんがこの池の茶....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
亭主などは、まだ一ツ話にするが、その人々の家も、新築を知らぬ孫が出来て、二度目の
扁額が早や古びを持って来たから、さてもしばらくになった。 「じゃ、お内のお嬢さん....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
れていたが、近時は画名が段々高くなって、新富町の焼けた竹葉の本店には襖から袋戸や
扁額までも寒月ずくめの寒月の間というのが出来た位である。寒月の放胆|無礙な画風は....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
りんご数株あれども、後年の栽培にかかる。古樹はすでに朽ちたりとて、その形を写して
扁額となす。一人の来訪者なく、寂寥たるありさまなり。左の二首はそのときの所感を写....