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扇子
「扇子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
扇子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
」
中村玄道《なかむらげんどう》と名のった人物は、指の一本足りない手に畳の上の
扇子をとり上げると、時々そっと眼をあげて私よりもむしろ床の間の楊柳観音《ようりゅ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
たるコップを左手《ゆんで》に把《と》りて、右手《めて》には黄白《こうはく》二面の
扇子を開き、やと声|発《か》けて交互《いれちがい》に投げ上ぐれば、露を争う蝶|一....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
抜けて真直に入ったが、 「もう快くって?」 と胸を斜めに、帯にさし込んだ塗骨の
扇子も共に、差覗くようにした。 「お嬢さん……」とまだ※としている。 「しばらく....
「春昼」より 著者:泉鏡花
なって、頬髯の中へ、煙も出さず葉巻を突込んでいるのがある。くるりと尻を引捲って、
扇子で叩いたものもある。どれも浴衣がけの下司は可いが、その中に浅黄の兵児帯、結目....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
目かけられものかも知れない――お待ち……あれ、気の疾い。」 紫の袖が解けると、
扇子が、柳の膝に、丁と当った。 びくりとして、三つ、ひらめく舌を縮めた。風のご....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
半円だ、ご免を被って大きく出ておけ。)――軽少過ぎる。卓子を並べて、謡本少々と、
扇子が並べてあったから、ほんの松の葉の寸志と見え、一樹が宝生雲の空色なのを譲りう....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ござります。」 と小さな丸髷を、ほくほくもの、折敷の上へ小綺麗に取ってくれる。
扇子だけ床几に置いて、渋茶茶碗を持ったまま、一ツ撮もうとした時であった。 「ヒイ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
と支いて、面長で、人柄な、頤の細いのが、鼻の下をなお伸して、もう一息、兀の頂辺へ
扇子を翳して、 「いや、見失ってはならぬぞ、あの、緑青色した鳶が目当じゃ。」 ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、一口でもいいんだが。」 「おひや。暑そうね、お前さん、真赤になって。」 と、
扇子を抜いて、風をくれつつ、 「私も暑い。赤いでしょう。」 「しんは青くなってい....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
す霞を靉靆かせた。 若手の作者よ、小説家よ!……天晴れ、と一つ煽いでやろうと、
扇子を片手に、当時文界の老将軍――佐久良藩の碩儒で、むかし江戸のお留守居と聞けば....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
て、一枚着物を着換えたお雪を見た。繻子の帯もきりりとして、胸をしっかと下〆に女|
扇子を差し、余所行の装、顔も丸顔で派手だけれども、気が済まぬか悄然しているのであ....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
ったかを実証している。 ◇ 昔はまた役者の簪とか、紋印がしてある
扇子や櫛などを身に飾って狂喜したものだ。で役者の方でも、狂言に因んだ物を娘たちに....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
あるかな、背後に迫って男が二人。一人の少い方は、洋傘を片手に、片手は、はたはたと
扇子を使い使い来るが、
扇子面に広告の描いてないのが可訝いくらい、何のためか知らず....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
たのである。また…… 丸岡にて翁にわかれ侍りし時扇に書いて給はる。 もの書いて
扇子へぎ分くる別哉 芭蕉 本人が「給わる」とその集に記したのだから間違いは....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
のあるのを引出して、掌に据え直し、載せるために差して来たか、今まで風も入れなんだ
扇子を抜いて、ぱらぱらと開くと、恭しく要を向うざまに畳の上に押出して、 「軽少で....