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「扇風機〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

扇風機の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
世相」より 著者:織田作之助
色の無地の帯を緊め、濡れたような髪の毛を肩まで垂らして、酒にほてった胸をひろげて扇風機に立っていた女が、いらっしゃいとも言わず近眼らしく眼の附根を寄せて、こちら....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
中に取囲んでしまう、そんなことがあった。氷は湯気のような水蒸気をたてていた。と、扇風機にでも吹かれるように「寒気」が襲ってきた。船のあらゆる部分が急にカリッ、カ....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
投げ込まれた紅白のカーネーション、皿の上のトマトの紅とサラドの緑、頭上に回転する扇風機の羽ばたき、高い窓を飾る涼しげなカーテン。 そこへ、美しいウエトレスに導....
備忘録」より 著者:寺田寅彦
たとえば暑中氷倉の中に一時間もはいっているのは涼しさでなくて無気味な寒さである。扇風機の間断なき風は決して涼しいものではない。 夏の山路を歩いていると暑い空気....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
うに出ていた。一郎は、時間のたつのも忘れて、じっと見つめていた。 掘出した扇風機 新潟県から帰ってきて、一郎はすっかり考えこんでしまった。除雪車が、あん....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
高速運動体だから、人間の目には見えないというのか。なるほど、これは一つの理窟だ。扇風機の羽根も、廻りだすと目に見えなくなるが、あの理窟と同じだという……」 わ....
大阪発見」より 著者:織田作之助
のところへ汁を三杯も啜ったので、私は全身汗が走り、寝ぼけたような回転を続けている扇風機の風にあたって、むかし千日前の常磐座の舞台で、写真の合間に猛烈な響を立てて....
風博士」より 著者:坂口安吾
きこと高山植物の如く、実に単なる植物ではなかったのである! ああ三度冷静なること扇風機の如き諸君よ、かの憎むべき蛸博士は何等の愛なくして余の妻を奪ったのである。....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
へ静々と招ぜられたのである。しかし美姫は巷談師がビールをのんでいる間というもの、扇風機よりも休みなくウチワであおぎつづけてくれました。全然辛苦をいとわんのだな。....
人造物語」より 著者:海野十三
出来たテレボックスは、人間からの命令によって、窓を開けたり閉めたりする。それから扇風機をかけたり止めたりする。入口の戸を開けたり閉めたりする。それから電灯を点け....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
のにも自動車を徐行させて、牛の這うようにノロノロと……車中で寝ていられるように、扇風機を取り付けたり、氷柱を入れさせたり、引っ繰り返るような騒ぎを演じているので....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
軽、遥向幾回傾。 (大西洋上に客船の足も速く、はるかに太陽の直下に向かって行く。扇風機は風を送るもその風すらあつく、氷と麦酒とを幾杯かかたむけたのだった。) 赤....
三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
の反射光線は室内にまで火矢のように躍り込んでいた。捜査本部では、当事者達が一台の扇風機を囲んで、汗を拭きながら、捜査の方針を練っていた。 「首があると、被害の見....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
の主人も、暫く坐っている中《うち》我慢がしきれなくなって、中仕切の敷居際に置いた扇風機の引手を捻《ねじ》ったが破《こわ》れていると見えて廻らない。火鉢の抽斗《ひ....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
、私はそれまで臨時の住込み店員の形であった。まず私に与えられたのは、いわば当時の扇風機のモーター代わりの役目である。分厚いどんちょうの端からたれ下がっているひも....