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手が出ない
「手が出ない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手が出ないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
駈けて行った。
洋一は妙にてれながら、電話の受話器を耳へ当てた。するとまだ交換
手が出ない内に、帳場机にいた神山《かみやま》が、後《うしろ》から彼へ声をかけた。....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
の配給日が二日おくれて今日になったが、すずき一片が金十七円也。これではどうしても
手が出ないと、うちの隣組では棄権。せっかくの晴彦の誕生日も、これでは魚を祝ってや....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
挑みかからば、これなる眉間傷より血が噴こうぞ」 微笑しながらずいずいと行くのに
手が出ないのです。その騒ぎを聞いたか、わッと参籠所から雪崩出て来たのは、善男善女....
「地球要塞」より 著者:海野十三
。 「元帥閣下、大東亜共栄圏を侵略しようとする外国があるにしても、只今すぐには、
手が出ないのではありませんか」 「なぜじゃ、それは……」 「でも、只今、米連《べ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れとは、少しどうも呼吸《いき》が違うようだ。 そこで、仏頂寺ほどの豪傑も、まず
手が出ないで、何が何だと、煙《けむ》にまかれたような有様でいると、 「おトボけな....
「慾」より 著者:豊島与志雄
有害なものを食べる。これが慾でなくて何だ。洋菓子は宝石と類似の商品だ。宝石にまで
手が出ない者は、一箱の洋菓子の各種類をつまんでみたくなる。洋菓子を食い飽きてるほ....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
ビをたのしむような生活がしたいと望んでいるのだよ。ところがテレビは二十万円もして
手が出ないから、ビールかコーヒーをのんで喫茶店のテレビでまにあわせたいが、その金....
「鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
ならぬと見えますな」 「天人にも五衰あり、仙人にも七難がござる。……死霊だけには
手が出ない」 「歌に就いてのお考えは?」 「え、歌だって? なんの歌かな?」 「....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
なった。 「だってそうじゃアありませんか、一切妾に委されないなら」 「だが俺には
手が出ないよ」 「お書きなさいまし、原稿をね」 それは歌うような調子であった。....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
、さびしそうに心でつぶやいた。「さてこれからどうしたものだ。……どうにもこうにも
手が出ない。これまで通り江戸市中を、あるき廻るより策はない。いや我ながら智慧のな....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
んは熊蜂を飼っていなさるのかね」 「そうではないが、実は怖しくて十何年というもの
手が出ない。これがあるばッかりに、この十年どんなに心細い思いをしているか分らない....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
マコを食うなどとは甚しく凡庸ならざる所業で、よほど海の物を食いあげた上でなければ
手が出ないように思われるが、志摩人は原始時代から海の物をモリモリ食っていたのであ....
「ザザ虫の佃煮」より 著者:佐藤垢石
りもおいしいと思ってきたのである。 けれど、川に棲む虫は初見参である。なかなか
手が出ない。秋田県地方の人々は、姫|柚子などよりも大きい源五郎虫を、強精剤として....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
人も一同、羽織、袴で並んだ処、その鶏の目に、瞳を一点打つとなって、手が出ません、
手が出ないんですとさ。(おいでを願って、……すぐにおいでを願って、願って、大師匠....
「『西遊記』の夢」より 著者:中谷宇吉郎
って来た。スタインの専門的な探険報告や燉煌絵画のような浩瀚《こうかん》なものには
手が出ないが、この『踏査記』のような手軽なものに、彼の全仕事が纏《まと》められて....