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手が届く
「手が届く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手が届くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
室の周囲《まわり》にもあった。ふくらんだ蕾《つぼみ》を持った、紅味のある枝へは、
手が届く。表門の柵《さく》のところはアカシヤが植えてあって、その辺には小使の音吉....
「家霊」より 著者:岡本かの子
ている。客の向っている食品は鍋るいや椀が多い。 湯気や煙で煤けたまわりを雇人の
手が届く背丈けだけ雑巾をかけると見え、板壁の下から半分ほど銅のように赭《あか》く....
「春の鳥」より 著者:国木田独歩
ですから、私は驚いて止めようと思っているうちに、早くも中ほどまで来て、手近の葛に
手が届くと、すらすらとこれをたぐってたちまち私のそばに突っ立ちました。そしてニヤ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
たるや日本の海岸を去る七百キロという近さじゃ。ちょいと手を伸ばせば、日本の本土に
手が届く。艦上機も、着艦の心配は無用じゃ、一と思いに、日本の飛行場を占領して降り....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
が私の腕をひっぱった。そして耳の傍に、やっと聞きとれる位の声で囁いた。 「二階に
手が届くようになったから、一度懐中電灯をつけて見る。ピストルの弾丸が飛んでくるか....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、生前の岩瀬肥後から啓発せらるるところの多かったということも似ていた。あの四十に
手が届くか届かないかの若さで早くこの世を去った岩瀬肥後ののこした開国の思想が、そ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
「カション、いくら君が日本の言葉からはいろうとしても、その言葉の奥にあるものには
手が届くまい。やはり、われわれヨーロッパのものは、なかなか東洋人の魂にははいれな....
「怪塔王」より 著者:海野十三
帆村探偵と一彦は、一歩一歩怪塔の入口に近づきました。そしてもう一歩で、入口の扉に
手が届くというところまで近づいたそのときでありました。突然あたまの上から、破鐘の....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
進む。 山吹がいまを壮に咲いていた。丈高く伸びたのは、車の上から、花にも葉にも
手が届く。――何処か邸の垣根|越に、それも偶に見るばかりで、我ら東京に住むものは....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
へ廻って、こう覗き込むようにして褥を直した。四畳半で、腰を曲げて乗出すと、縁越に
手が届くんですね。 (ともかく御免を、) 高縁へ腰を蹂って、爪尖下りに草鞋の足....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、又何くれと詳しい説明をしてくだされたのは、例の私の指導役の神様でした。痒い所へ
手が届くと申しましょうか、神様の方では、いつもチャーンとこちらの胸の中を見すかし....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
恩愛の温かさを思って拝跪したくなる。人の愛と心遣いの行き届くことを俗に「痒い所に
手が届く」という。お祖母さんの手は当然痒いところに届くものと思い込み、だだをこね....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
柔こう、畜生になる処を、はや、ひっくり返った。」 がばと開けて、 「それ、救の
手が届くと、はや、白い天人が仰向いたようじゃ。ええ、邪魔な。」 細い、霜を立て....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
葡萄畑だ。本当か知らん。
ジイベル
それに葡萄に
手が届く。
ブランデル
この青い屋根の下に
こんな好い蔓がある。こんな好....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
でおとなしい人なので、両親のお覚えもよく、また実によく気がついて、かゆいところに
手が届くように父の看護をするので、両親には大変に気に入られておるのですが、一雄の....