手に落ちる[語句情報] » 手に落ちる

「手に落ちる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手に落ちるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
》の下まで吹き落してしまった。下にいる女髪結は、頻々《ひんぴん》としてお君さんの手に落ちる艶書《えんしょ》のある事を心得ている。だからこの桃色をした紙も、恐らく....
「或る女」より 著者:有島武郎
付きの凶状持ちにまでした事を知った。外界から切り離されるだけそれだけ倉地が自分の手に落ちるように思っていた葉子はそれを知って有頂天《うちょうてん》になった。そし....
「こころ」より 著者:夏目漱石
置こうとした。その時ふと結末に近い一句が私の眼にはいった。 「この手紙があなたの手に落ちる頃には、私はもうこの世にはいないでしょう。とくに死んでいるでしょう」 ....
「稲生播磨守」より 著者:林不忘
どのだからなあ。じつは、あのお納戸役｜吾孫子《あびこ》殿の娘御お加世どのは、誰の手に落ちるかと、われわれ一統、手に汗握る気持ちで眺めておったのだ。自薦運動も大分....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
か村の者の云うように、この絵巻物がひとり手に弥勒様の仏像から抜け出して、呉一郎の手に落ちるような事は、有り得る筈がないでしょう」 「……ウフン……」 「……又…....
「牛鍋」より 著者:森鴎外
子猿が母の腋を潜り、股を潜り、背に乗り、頭に乗って取ろうとしても、芋は大抵母猿の手に落ちる。それでも四つに一つ、五つに一つは子猿の口にも入る。 母猿は争いはす....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
跳《おど》り上って喜んだのは品川宿の建具屋の平吉という若い男で、この百両が平吉の手に落ちることにきまると、当人も嬉ぶし、誰も彼も羨ましそうに見えました。平さんは....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
いてる舗道の上に黒く浮き出してるその忌まわしい姿を彼は見た。前に進めば、その男の手に落ちる。後ろに退けば、ジャヴェルの手中に身を投ずることになる。ジャン・ヴァル....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
かもしれなかった。かれはおそらくそうする権利があった。わたしは好んでバルブレンの手に落ちる危険をおかすよりも、バルブレンのおっかあから恩知らずの子どもだと思われ....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
はどうすることもできない。もはや手が鎧櫃へかかったらしい。 とうとうこいつらの手に落ちるのか。 近々と力を入れる呼吸《いき》づかいが荒い。 「なかなか固うご....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
う訳ですから、とても合同の出来ない事はきまって居る。 まずこのチベットは英国の手に落ちるか露国の手に落ちるかという、二つの争いになって居るです。ネパール国はこ....
「上海」より 著者:横光利一
洋に於ける英国の擡頭と同様だった。やがて、東洋の通貨の支配力は、完全に英国銀行の手に落ちるであろう。そうして、支那は、支那の中に於て富む者が何者であろうとも、彼....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
が 難儀しているのを御覧なさい。 手近な高地はもう敵が占めました。 あの狭隘が敵手に落ちると、 身方の立場は困難です。 帝 やはり己は騙されたのか。 お....
「痴人と死と」より 著者:ホーフマンスタールフーゴー・フォン
苦労に疲れて胸にはあくがれの重荷を負うて暖かい欲望を抑えながらも、熟すればわしの手に落ちるのが人生じゃ。 主人。その熟している己ではないから、どうぞ許して貰いた....
「金の魚」より 著者:小川未明
くれればいいと祈っていました。そうすれば、とどこおりなく、千｜両の金が自分一人の手に落ちると考えたからであります。 二人のものは、たがいに顔をにらみあってもの....