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手の下
「手の下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手の下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
い払った。逐い払うということは、もちろん高等なことでもなんでもない。が、自分は相
手の下等さによって、自分もまたその下等なことを、しなくてはならないところまで押し....
「或る女」より 著者:有島武郎
たけれども声は出なかった。そのくせ葉子の手は本能的に自分の頬をかばうように倉地の
手の下るのをささえようとしていた。倉地は両|肘《ひじ》まで使って、ばたばたと裾《....
「星座」より 著者:有島武郎
らそういった。ごつごつした手がぶきっちょうに清逸の背中を上下に動いた。清逸はその
手の下でしばらくの間咳きつづけた。
咳がやんでも純次はやはりさすり続けていた。....
「春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
幕を暗にうす赤く浮かし出した。自分らはすっかり防寒の用意をして、毛皮の上に寝た。
手の下には、青葉の下に石のように凍った雪が白く見えた。静かだなあと思いながら手袋....
「火星探険」より 著者:海野十三
胸に大きな勲章がぶら下っているよ……」 「でたらめ、いってらあ」 河合が山木の
手の下から呼んだ。 「しずかにしないか、こいつ……」 山木が河合の口をぎゅうと....
「火薬船」より 著者:海野十三
ね。たしかにあやしいことは素人にもそれとわかるのに、ノールウェーでは、海軍さんも
手の下し様がないんだろう」 「残念、残念。宣戦布告がしてないと、ずいぶんそんだな....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
の上に、仰向けになって倒れ、呼吸がたえていた。 じつに見事な腕の冴であった。相
手の下士官は、ついに一発の弾丸も放たないで、あの世へ旅立ったのだ。 「おお、この....
「空襲警報」より 著者:海野十三
まち室内は一面の火の海となり、なおも隣家の方へ燃えひろがっていった。 まったく
手の下しようもない。みるみる火勢はものすごさを加えていって、往来へとびだしてみる....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
改めた。なんだか下は硬そうであるが、とにかくその下を掘り始めた。 「だ、駄目よ。
手の下には、かねのついた敷居があるのよ。掘っても駄目駄目。……ああ早く抜けないと....
「転機」より 著者:伊藤野枝
から行けというように手を動かしている。見ると沼の中に降りる細い道がついている。土
手の下まで降りて見ると、沼の中には道らしいものは何にもない。蘆はその辺には生えて....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
月の正体をみてみたいものだ。あれだけはどんなことがあっても、ただの星とちがって、
手の下からすべって消えていくということはないからな。うちのかみさんがせんたく物を....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
して艶であった。玉脇の妻は霊魂の行方が分ったのであろう。 さらば、といって、土
手の下で、分れ際に、やや遠ざかって、見返った時――その紫の深張を帯のあたりで横に....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
そうかも知れねえ、昨夜そうやってしっかり胸を抱いて死んでたもの。ちょうど痛むのは
手の下になってた処よ。」 「そうでございますか、あの私はこうやって一生懸命に死に....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
こそ若けれ、あらわに見ゆる筋骨は数四十であるのに、彼を抱くものあらば正にその者の
手の下なるべき、左の背を肩へかけて、亜弗利加の地図のごとき一面の癬、あな笑止や。....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
安かったのである。もちろん私たちはそれを承知で借りたわけだ。お雪はここで大学生相
手の下宿をはじめ、私は私で近郊の牧場にむぎぬかとか、ふすまを納めるまぐさ屋を開業....