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手の指
「手の指〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手の指の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
た。これは房子だった「物」に重なりながら、爪も見えないほど相手の喉《のど》に、両
手の指を埋《うず》めていた。そうしてその露《あら》わな乳房《ちぶさ》の上に、生死....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
と扇面を控えていた。ただ、咄嗟《とっさ》の際にも私の神経を刺戟したのは、彼の左の
手の指が一本欠けている事だった。私はふとそれに気がつくと、我知らず眼をその手から....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
えているのは大きい粟野さんの右の手の彼の目の前へ出たことだけである。あるいはその
手の指の先に(ニコティンは太い第二指の爪を何と云う黄色《きいろ》に染めていたであ....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
だい。」と言った。
次郎は、あらゆる表情が、凝り固まったような顔をしながら、左
手の指を口へ含んで、鋭く二声、口笛の音を飛ばせた。これが、仲間にだけ知られている....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
い。口が開《あ》いたり、目が動いたりする後世の人形に比べれば、格段な相違である。
手の指を動かす事はあるが、それも滅多《めった》にやらない。するのは、ただ身ぶりで....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
頭が、若旦那に手紙を一本書いて頂きたいと云う。五十を越した実直な男で、その時右の
手の指を痛めて、筆を持つ事が出来なかったのである。「万事都合よく運んだからその中....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
肩ごしに、読んでいる本を一瞥《いちべつ》致しました。本はバイブルで、その人物の右
手の指は「爾《なんじ》の墓を用意せよ。爾は死すべければなり」と云う章を指さして居....
「或る女」より 著者:有島武郎
《おしろい》をぬぐい終わると、口びるを開いて美しくそろった歯並みをながめ、両方の
手の指を壺《つぼ》の口のように一所《ひとところ》に集めて爪《つめ》の掃除《そうじ....
「或る女」より 著者:有島武郎
お思いになって」
葉子は火鉢《ひばち》の縁《ふち》に両|肘《ひじ》をついて、両
手の指先を鼻の先に集めて組んだりほどいたりしながら、古藤の顔に浮かび出るすべての....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
波を切って海の中にはいって行ってくれました。
私はぶるぶる震えて泣きながら、両
手の指をそろえて口の中へ押《おし》こんで、それをぎゅっと歯でかみしめながら、その....
「星座」より 著者:有島武郎
て、少し上眼をつかって、にこやかに客を見上げた。つつましく左手を畳についた。その
手の指先がしなやかに反って珊瑚《さんご》色に充血していた。
意外なというごくご....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
というのも憚り、たださしまねいて褒めそやした。小船は見る見る廉平の高くあげた
手の指を離れて、岩がくれにやがてただ雲をこぼれた点となンぬ。 親船は他愛がなか....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、穏ならぬ気色である。 夫人、するりと膝をずらして、後へ身を引き、座蒲団の外へ
手の指を反して支くと、膝を辷った桃色の絹のはんけちが、褄の折端へはらりと溢れた。....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
あるがためであろう、と思う仔細がある。あたかも一樹が、扇子のせめを切りながら、片
手の指のさきで軽く乳のあたりと思う胸をさすって、返す指で、左の目を圧えたのを見る....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
たなり。背後へ雪のような手を伸して、荷車ごと爺どのを、推遣るようにさっせえた。お
手の指が白々と、こう輻の上で、糸車に、はい、綿屑がかかったげに、月の光で動いたら....