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手の物
「手の物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手の物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
出来事が起った。やはり同じ町内の酒屋の下女で、今年二十一になるお伝というのが、裏
手の物置へ何か取り出しにゆくと、やがてきゃっという声をあげて倒れた。その悲鳴を聞....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
丸亀を退散して、京の四条の茶屋の板前を勤めていたとき、血気の朋輩と喧嘩をして、お
手の物の包丁で斬りつけられた傷である。彼は、それを時にとっての証拠として、自分の....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
さん、追い出されてきました」 省作は笑いながらそういって、えん側へ上がる。母は
手の物を置いて、眼鏡越しに省作の顔を視つめながら、 「そらまあ……」 驚いた母....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
さあ」と老人はくすぐったそうに「私に出来ることならね」 「そりゃあ出来るとも、お
手の物なのさ」 「で、一体どんなことかな?」 「妾は人一人殺し度いのさ」 「ほほ....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
ろうと思うほどの皿であると云いました。其の外にある二十枚の皿を白菊と云って、極薄
手の物であると申すことですが、東山時分に其様な薄作の唐物はない筈、決して薄作では....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
かよくわからないのだからね。何にしても厄介なことなんだ。だが、これだ。全く君のお
手の物さ。殺人犯の自筆だよ。」 ゲストの眼は輝いた。そして彼は直ぐに腰を下ろし....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
きつって、口もろくにきけなかった。しかし最初の一言で彼女は了解した。顔色を失い、
手の物を取り落し、なんとも言わないで、家の外へ駆け出していった。 クリストフは....
「町内の二天才」より 著者:坂口安吾
が、である。試合がはじまってみると、実に意外である。意外、また意外である。石田投
手の物凄さ。身長は長助と同じぐらいだが、スピードは段がちがう。コントロールはいい....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
見物人の方が疲れきっていた。 今年のお祭衣装は一万三千円だったそうだ。織物はお
手の物だから生地も柄もソツがない。今年のはチリメンのおそろいだそうで、朝昼晩と装....
「牛」より 著者:坂口安吾
っている音だった。 牛は完全にビックリして、ひきつけてしまったのである。彼は両
手の物をとり落したことにも気がつかないでいるようだった。魂をぬかれたような顔に、....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
台所へ行くと、其所に大根卸しに使った大根の切れッ端がある。それを持って来て、お
手の物の小刀で猫の足跡を彫り出したのです。ちょうどそれは梅の花の形のような塩梅に....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
あるに相違ない、さりとて娯楽なしには生存し難き人間である以上、それを知りつつもお
手の物なる金銭の力により、下劣浅薄な情欲を満たして居るのであろう、仏者の所謂地獄....
「真珠の首飾り」より 著者:神西清
ある、「だから別にこれという強烈な印象ものこらないし、とっくり観察しようにも、相
手の物もなければ暇もないから、――つまり上っ滑りになってしまう。だから貧弱になる....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
様の
仰だ。壁になっている所はひとりでに開け。
何の邪魔もない。ここでは魔法がお
手の物だ。
垂布は火事に燃えてまくれ上がるように消える。
石壁も割れて、ひっくり....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
茶場に充てている。愛らしい小女給を置いて、普通の喫茶店にあるものの外、しる粉やお
手の物の和菓子も食べさせるといった風で学生や家族連れの客でいつも賑っている。 ....