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手ぶら
「手ぶら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手ぶらの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
かし林之助は大小を捨てて町人になろうとは思わなかった。お絹の縁に引かれながらも、
手ぶらでいつまでも彼女の厄介になっていたくもなかった。屋敷をやめれば忌でも応でも....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い持っていましたか、それはどうも判り兼ねます」 「外から帰ってくる時には、いつも
手ぶらで帰ったかえ」 「いいえ、いつも何か風呂敷包みを重そうに提げていました。村....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
え」 「いい智恵と云ってもねえが、見込みをつけて江戸から乗り込んで来た以上、ただ
手ぶらでも引き揚げられねえ。そこで、三五郎。近い頃にどこかの異人館で物をとられた....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
十一時をかなり廻ったから、帰ってまた銀座裏まで出直すのは億劫だし、そうかといって
手ぶらでは行っても仕方がないしと、後悔しているところへ、丁度流して来てピタリと目....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
バッグ、靴などをとりに行ったが、すでに盗まれてしまっていてなにひとつとてもない。
手ぶらで戻る。 船橋にも、前のようにハマグリ、アサリの売店はない。ポツン(玉も....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
を戦場ときめてしまったのだ。 僕は家の竹藪から手頃の竹を切ってみんなに渡した。
手ぶらで来た敵は、それでもう第一戦で負けてしまった。 次には彼等もやはり竹竿を....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
りに素気なく横を向いて口笛を吹いている。 ある夕方。春であった。真佐子の方から
手ぶらで珍らしく復一の家の外を散歩しに来ていた。復一は素早く見付けて、いつもの通....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
の行状について詳しく話もし聞きもしたいということであったそうだが、来るにはどうせ
手ぶらでは来まいという下心があるらしかったそうだ。現に同志の一人の細君は、面会へ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
をもう一刷した、水田の際を、おっかな吃驚、といった形で、漁夫らが屈腰に引返した。
手ぶらで、その手つきは、大石投魚を取返しそうな構えでない。鰌が居たら押えたそうに....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
そはきっと巧くやって来ると云って、ゆうべも夕方から出て行きましたが……。やっぱり
手ぶらで帰って来て、『今夜もまたやり損じた。おまけに嬶が大きな声を出しゃあがった....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
で帰ろうとすると、石段につまずいて倒れた。手と膝頭を擦り剥いただけでしたが、私は
手ぶらで帰っても浜子に折檻されない口実ができたと思ったのでしょう、通りかかった人....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
を表することになったらしい。彼は小さい風呂敷包み一つを持っているだけで、ほとんど
手ぶら同様だ。僕もカバンひとつだが、そのなかには着物がぎっしりと詰め込んであるの....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
がかわっているくらい――もう、わずらってから、永いことになるんだ。 結局お前は
手ぶらですごすご帰って行った。呼びかえして、 「――あれはどうしてる?」 と、....
「昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
う思います」 と、うっかり(というより寧ろ本心から)そう答えてしまい、これでは
手ぶらで帰るより仕方がなかった。 しかし、聴けば、たった一軒、兵隊さんになら、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
名にし負う捨どんがお使者でさ、しかも身替を立てる間奥の一間で長ッ尻と来ていらあ。
手ぶらでも帰られまい。五助さん、ともかくも貰って行くよ。途中で自然からこの蓋が取....