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手も足も出ない
「手も足も出ない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手も足も出ないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「瘤」より 著者:犬田卯
って来て村の金庫をあらためようとした。不意を食った村当局は周章狼狽、蒼白になって
手も足も出ない始末であったが、急をきいてやって来た津本村長は悠然として、応接間に....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
二葉亭の注文通りにこの機会に乗じて驥足を伸べるどころか、火の子を恐れて縮こまって
手も足も出ないでいる。偶々チョッカイを出しても火傷をするだけで、動やともすると野....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
でもって宙につりさげられた丁坊は、気が気ではない。 丁坊の身体こそは温い毛皮で
手も足も出ないように包まれているけれど、顔はむきだしになっていて、氷のような風が....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
あなたのお子さんは?」 「私には子どもはありません。妾に姙娠までされてはもう私は
手も足も出ない、どうしたものか、一層身を退いて夫と別れようかとも思いましたが、考....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
える。それについて、父はこう説明していた。 「守田も七、八十万円の借金で、とても
手も足も出ないので、よんどころなしにここへはいり込んだのらしい。なにかいい機会を....
「章魚の足」より 著者:海若藍平
をはじめました。 「ヤイ達磨の意気地なし。貴様は鬚なんぞ生やして威張っていても、
手も足も出ないじゃないか。俺なんぞ見ろ。こんなに沢山イボイボの付いた手を八つも持....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
検事総長の椅子とフランシス・ベエコンの運命は、見え分かぬ愛情のクモの巣のなかで、
手も足も出ないのである。ともすれば戯れが化して激情となることもある。その冬の間、....
「城」より 著者:カフカフランツ
父のことをあんなにも苦しめてきたたくさんの情報屋たちをそれによっておそらく少しは
手も足も出ないようにしてやり、父も満足することができるでしょう。そこで、むろんま....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
じはしたが、蛇に魅入られた蛙とでも云おうか、陣十郎という男に見詰められていると、
手も足も出ないような恐怖感に、身も魂も襲われるのであった。 女に血潮を充分に拭....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
、駕籠の中では北王子妙子が、不安そうに呟いていた。 「船! ……あのお方! ……
手も足も出ない!」 だが本当にそんな船が、そんな恐ろしい人物を乗せて、海上を渡....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
でも、彼は、隙を狙うべく、紙帳を巡った。帳中の左門によって、見抜かれてしまった。
手も足も出ないではないか。 常磐木と花木と落葉樹との林が立っている。鳥が翔け過....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ない」といったのを思い出した。私はますます解らなくなった。私は考え出すとほとんど
手も足も出ないほど不自由を極めてくるのを感じた。そのとき私は親鸞聖人の心持ちがし....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
で無罪になります」 「所が俺はもう云い解く事は出来ないのだ。俺は署長に嵌められて
手も足も出ないようになっている。俺は冤罪で罰せられるより一そ一思いに死んで終おう....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
うずき、両の眼に涙がにじみ出してくる。その時刻には、哀れな九等官などは、まったく
手も足も出ないありさまである。唯一の救いは、薄っぺらな外套に身をくるみ、できるだ....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
み飽きてしまった。若いものの邪魔になりながら、ゴロゴロしていた。――「可哀相に、
手も足も出ない。――はがゆくって!」 稲が実を結びかけていた大切な時を、雨は二....