手を置く[語句情報] » 手を置く

「手を置く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手を置くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
いで何んという不愛想な人たちだろうと思って腹立たしかった。その時軟かく自分の肩に手を置く人があった。振り向いてみるとおぬいさんだった。娘心はおびただしい群衆のぞ....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
り机の横へ坐り込む。糸子《いとこ》ははたりと本を伏せた。伏せた上へ肉のついた丸い手を置く。 「何でもありませんよ」 「何でもない本を読むなんて、天下の逸民だね」....
倫敦塔」より 著者:夏目漱石
きん》にて飾れる大きな書物を開《ひろ》げて、そのあけてある頁《ページ》の上に右の手を置く。象牙《ぞうげ》を揉《も》んで柔《やわら》かにしたるごとく美しい手である....
朱日記」より 著者:泉鏡花
教頭心得。何か落着かぬ色で、 「こっちへ入れ。」 と胸を張って袴の膝へちゃんと手を置く。 意味ありげな体なり。茶碗を洗え、土瓶に湯を注せ、では無さそうな処か....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
なんでもいたします。私は死んでもいといません。(すすり泣く) 親鸞 (唯円の肩に手を置く)どうした。唯円。なんでそんなに感動するのだ。 唯円 私はあなたの愛にす....
あの顔」より 著者:林不忘
ぶさっているのだった。お久美は、この、何一つ不自由のない環境と思い合わせて、胸に手を置くといった気もちで、静かに、その原因が何であるか考えてみようとした。 じ....
秋風記」より 著者:太宰治
窓をひらき、うねうね曲って流れている白い谷川を見おろした。 私の背中に、ひやと手を置く。裸身のKが立っている。 「鶺鴒。」Kは、谷川の岸の岩に立ってうごいてい....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
と山之助に取縋って泣きまするから、堪え兼てお照も泣伏します。水島太一も膝の上に手を置くと、はら/\/\と膝へ涙が落ちる。すると台所の方から大きな声で 「御免な....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
かれてあとずさりに、一脚のベンチに憩う。) お蔦 (並んで掛けて、嬉しそうに膝に手を置く)感心でしょう。私も素人になったわね。 ※風に鳴子の音高く、 時に、よう....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
子孫末代よい意見じゃ、旅で芸者を呼ぶなぞは、のう、お互に以後謹もう……」と火箸に手を置く。 所在なさそうに半眼で、正面に臨風榜可小楼を仰ぎながら、程を忘れた巻....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
る、気を沈めて。……これは、ばけものの手触りかも知れませんよ。」 そこで、背に手を置くのに、みだれ髪が、氷のように冷たく触った。 「どうぞ、あの薙刀の飛ばない....
貞操問答」より 著者:菊池寛
路子に連れられて、兄妹がはいって来た。前川氏は、ふり返って十二になる男の子の頭に手を置くと、 「小太郎というんです。」と、やさしく名を呼び、父らしい微笑の眼で新....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
の柘植宗庵の娘おゆうと婿相良寛十郎とのあいだにできたものとわかって和泉屋の一部へ手を置くことに決まれば、その他、あちこちから地所やら家作やら莫大な資財がお高にあ....
一寸怪」より 著者:泉鏡花
、呼んだ人の膝へ置く、呼ばれた人は必ず、返事をして、また同じ方法で、次の人の膝へ手を置くという風にして、段々順を廻すと、恰度その内に一人返事をしないで座っている....
はつ恋」より 著者:神西清
一矢をむくいた。 わたしはカッとなった。しかしジナイーダは、素早くわたしの肩に手を置くと、半ば身を起しながら、やや顫えを帯びた声で、こう言い放った。 「わたし....