手一杯[語句情報] » 手一杯

「手一杯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手一杯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:宮本百合子
ると、彼は感歎の声をあげた。 「ほほう! これ! まるでいいや」 フランツは、手一杯に拡げたものをルイザの方に向けた。一目見て彼女は息が窒《つま》りそうになっ....
貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
ッとしたものをまるめると、押し潰されてとび出したドロドロに滑らかな、腐った薯が、手一杯についてしまったのである。 青黄色い粘液から、胸の悪くなるような臭いが立....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
現れて管下一円《かんかいちえん》を脅《おびやか》すことになれば、わし達は鞄狩りに手一杯となり、他の仕事が出来なくなるだろう。とにかく怪談にせよ引力にせよ、一大事....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
でも手をゆるめると尻の穴でも嘗めかねないほど、嫌に曲がりたがる酔どれの首筋から両手一杯に、二人の洋服の襟を引きちぎる程引きずり出していた。 「お帰りなさいな」 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
使ってもらえば金の冥利《みょうり》にもなるし、罪ほろぼしにもなるんだから、それで手一杯に地道《じみち》な商売をして、世間に融通をしてもらいてえんだ」 「それじゃ....
新妻の手記」より 著者:豊島与志雄
て役に立たず、家の中のことから病院への面倒まではみかねるし、四つの娘の世話だけで手一杯である。家政婦を雇おうにも、よい人柄の者はなかなか見つからないようだし、伯....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
まったものだ。 果たして営業税は以前の二倍を課せられることになった。私は当時、手一杯な生活をしていたので、営業税を増しただけ欠損を生じ、そのままで行けば閉店せ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
た物凄い掛声! つづけて「ヤヤ――ッ、ヤヤ――ッ、ヤヤ――ッ!」 先々の先の手一杯! さながら有段者が初心者を相手に、稽古をつけるそれの如く、主水が撃とう切....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
、御本丸へ出入りなどあり、なかなか手広にやってはいたが、こうした町家の常で、店は手一杯広がっていて、充分気楽に寝て保養をする場所がないので、妻のおきせさんが心配....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
とを処理するが何よりと、従来よりも一層仕事の上に忠実を尽くし、すべての注文の上に手一杯念入りにして、東雲師没後の彫刻に一層好評を得るよう心掛けました。これは、店....
土から手が」より 著者:牧逸馬
alifornia. 姉と弟が二人あったが、母が早く死に、父は男の子を育てるのに手一杯だったので、アイネは、加州オウクランドのフレッド・フィンチ孤児院に入れられ....
小説 円朝」より 著者:正岡容
れぼれと圓朝は寂しい美しい目の前の顔を見守っていたが、 「やる、とにかく、やる、手一杯ひろげられるだけこの手を大きくひろげて、もっと派手に、もっと華やかに私は売....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
っくりと倒れた。 目前の敵を殪し得た忠一は、先ずほッと駈け出して、吹溜りの雪を手一杯に掬って飲んだ。風は相変らず轟々と吼えて、灰とも烟とも譬えようの無い粉雪が....
おりき」より 著者:三好十郎
でも、やりやすと、大きに、ばさまだけでそう決めこんでいても、なにせ、どこの家でも手一杯のギリギリまでやってるだから、下手あすると、村中の段取りがガタガタにならあ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
秘中の機械を発明した。かくのごときことどもを喜びつつ私は欧州の野を歩きまわり、両手一杯に新知識を手にして帰ろうと思う。) 明治四十四年八月二十七日、午後五時、....