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手前
「手前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
《まと》は後ろに巻煙草の箱を積み、前に博多人形《はかたにんぎょう》を並べている。
手前に並んだ空気銃の一列。人形の一つはドレッスをつけ、扇を持った西洋人の女である....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
た。お鈴はこう云う父の気もちに始めのうちは嫌悪を感じていた。「ちっとはお母さんの
手前も考えれば善いのに、」――そんなことも度たび考えたりした。尤《もっと》もお鳥....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
お眼にかかりますな。どうも曲亭《きょくてい》先生が朝湯にお出でになろうなんぞとは
手前夢にも思いませんでした。」
老人は、突然こう呼びかける声に驚かされた。見る....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
らと云う忠告も、三度まで校長から受けました。が、当時の私にはそう云う親切な言葉の
手前、外見だけでも健康を顧慮しようと云う気力さえすでになかったのでございます。と....
「河童」より 著者:芥川竜之介
から。
「しかし両親のつごうばかり考えているのはおかしいですからね。どうもあまり
手前勝手ですからね。」
その代わりに我々人間から見れば、実際また河童《かっぱ》....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
。が、彼を推挙した内藤三左衛門《ないとうさんざえもん》の身になって見ると、綱利の
手前へ対しても黙っている訳には行かなかった。そこで彼は甚太夫を呼んで、「ああ云う....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
約束を破ったなら――これも、やはり己には堪えられない。一つには誓言《せいごん》の
手前もある。そうしてまた一つには、――己は復讐を恐れると云った。それも決して嘘で....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
は男の年を答えた。
「ははあ、まだ御若いな、御若い内はとかく間違いが起りたがる。
手前《てまえ》のような老爺《おやじ》になっては、――」
玄象道人はじろりとお蓮....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
。」
了哲はきれいに剃《そ》った頭を一つたたいて恐縮したような身ぶりをした。
「
手前が貰わざ、己《おれ》が貰う。いいか、あとで羨《うらやま》しがるなよ。」
河....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
る事があろうとは、お互に思いがけなかった事ですからな。」
「さようでございます。
手前も二度と、春に逢おうなどとは、夢にも存じませんでした。」
「我々は、よくよく....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
そう云う臆病ものの流れを汲《く》んだあなたとなれば、世にない夫の位牌《いはい》の
手前も倅《せがれ》の病は見せられません。新之丞《しんのじょう》も首取りの半兵衛と....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
声を出して、「やあ失敬」と声をかけた。
本間さんは何だかわからないが、年長者の
手前、意味のない微笑を浮べながら、鷹揚《おうよう》に一寸《ちょっと》頭を下げた。....
「死後」より 著者:芥川竜之介
黙ってしまった。
僕は格別死んだことを残念に思ってはいなかった。しかし何かSの
手前へも羞《はず》かしいようには感じていた。
「仕事もやりかけていたんだろう?」....
「運」より 著者:芥川竜之介
そんなに好《い》い女だったかい。」
「左様でございます。気だてと云い、顔と云い、
手前の欲目では、まずどこへ出しても、恥しくないと思いましたがな。」
「惜しい事に....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
記録にはただ、「多くの人々」と書いてある。そうして、ヨセフは、その「多くの人々の
手前、祭司たちへの忠義ぶりが見せとうござったによって、」クリストの足を止めたのを....