手厚い[語句情報] » 手厚い

「手厚い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手厚いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
はもったいないくらいである。余はそこで村井君に逢《あ》って、股野の細君に逢って、手厚い御馳走《ごちそう》になって帰った。 十九 支那の宿屋を一....
芽生」より 著者:島崎藤村
と思って、私は医局へ行った。その時、大きなテエブルを取囲《とりま》いた学士達から手厚い弔辞《くやみ》を受けた。濃情な皆川医学士は、お房のために和歌を一首作ったと....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
生きていた。彼女は多摩川を眼下に見下ろす、某病院の隔離病室のベッドの上で、院長の手厚い介抱をうけていた。 「もう大丈夫です。静かにしていれば、二三日で癒ります。....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
たので、それを見た人々はみな感嘆の声をあげたそうです。 黒太夫も大層よろこんで手厚い礼物を贈ると、祐慶は辞退して何にも受取らない。彼は自分の長く伸びた髭をすこ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
の甲冑片袖を残した。それは玉子色の羽二重に白麻の裏のとった袋に入れて、別に自筆の手厚い感謝状を添えたものである。 「馬籠の御本陣へも何か残して置いて行ったような....
」より 著者:徳田秋声
職業は瓦屋でござえんすけれど、暫らくでもお上の役を勤めていたばかりで、大層お手厚い葬礼でね。此方とらの餓鬼が、屋根から落ちて死んだって、誰方か何といって下さ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
うかこっちへ来て下さい」 見事なその一間、絹紬《けんちゅう》の夜具に包まれて、手厚い看病を受けているお君の身は、体面においてはさのみ不幸なものとはいわれません....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
で、各自《めいめい》膳《ぜん》で車座になってお酒も出た。 「いや、どうも、かくお手厚い御饗応《ごきょうおう》にあっては恐縮のいたりで――」 木魚の顔が赤くなっ....
庚娘」より 著者:田中貢太郎
ったので、そこでそれを南郊に葬ったが、好事者は朱い冠に袍を着けて会葬した。それは手厚い葬式であった。 一方王に衝き堕された金大用は、板片にすがりつくことができ....
促織」より 著者:田中貢太郎
ってすばしこく闘って、捷って今やっと生きかえった。」 といった。撫軍もまた成に手厚い贈物をしたので、数年にならないうちに田が百頃、御殿のような第宅、牛馬羊の家....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
に襲いかかった。その夏の大半は病気だった。クリストフはアルノー夫人に助けられて、手厚い看護をした。そして二人は病気を阻止することができた。しかし精神上の病苦にた....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
、鹹っぽい両|掌に汗を浮かべて、病を装おうと決心しました。それからが、こうして、手厚いおもてなしをいただく仕儀にございます。どうかいつまでも、下碑になりと、御手....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
有難い次第にござります。……それにこのようにご親切に、お屋敷へさえお連れ下され、手厚い介抱を受けまして、いよいよ忝けなく存じます」 その娘の名はお紅と云い、北....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
。「呼吸器だろう」などと噂をしましたが、間もなく全快して、病家では非常に喜んで、手厚い謝礼をしました。その貰い物で賑かな夕食の時に、兄が、「何病でした」と問いま....
狂女と犬」より 著者:小酒井不木
と足腰がたたぬようになって、どっと寝ついてしまい、爾来四年ばかりの間、お蝶さんの手厚い看護を受けて生きて居たのですが、村人がさっぱり交際を絶って居たので、その生....