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手取り
「手取り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手取りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《あまだね》を非常な高値《たかね》で引取る約束をしてくれた。仁右衛門の懐の中には
手取り百円の金が暖くしまわれた。彼れは畑にまだしこたま残っている亜麻の事を考えた....
「星座」より 著者:有島武郎
れを伏せて、吐きだすごとく、
「かったいぼう」
とほざいて立ちあがった。そして
手取り早く巻帯を解くと素裸かになって、ぼりぼりと背中を掻《か》いていたが、今まで....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
」と両三人の声は※《こた》えぬ。 白糸は猿轡《さるぐつわ》を吃《はま》されて、
手取り足取り地上に推し伏せられつ。されども渠は絶えず身を悶《もだ》えて、跋《は》....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
え」と手を振った。「この頃はこの頃でいいところがあるよ。それにこの頃は何でも話が
手取り早くて、まるで電気のようでさ、そしていろいろの手があって面白いじゃないか」....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
っきりと見当が付かねえそうで……。もちろん馴染みの客は大勢あるんですが、なかなか
手取り者らしいんで、どれがほんとうの情夫なんだか、店の者にもよく判っていないとい....
「大脳手術」より 著者:海野十三
に私は八千五百円を投じて割安な轢死人の両腕を譲りうけ、それを移植して頂いた。で、
手取りが百十四万千五百円也となった。これだけあれば、当分生活に困らない。 こう....
「人造人間の秘密」より 著者:海野十三
ら、どうするつもりか」 「すぐフランス国境へ逃げださないと、もう間にあわないぞ、
手取り早く、用意をしろ。――おい、早くここをあけないか」 「なんだ。あんなに大き....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
た生長をするのではないか、それも確めたいと思っている。しかしそれにしても、もっと
手取り早い旅行法が考えられなければならないと思い、かねて秘密に研究を続けていたの....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
はなかろうかと、心して捜すと、いくらもあります。これは陸で探るより、船で見る方が
手取り早うございますよ。樹の根、巌の角、この巌山の切崖に、しかるべき室に見立てら....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
した箸も無ければ、強飯を備えた盆も見えぬ。 「可訝いな。」 考えるまでもない、
手取り早く有体に見れば、正にこれ、往来|止。 して見ると、先刻、路を塞いで彳ん....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
す……。 こちらの世界の仕事は、何をするにも至極あっさりしていまして、すべてが
手取り早く運ばれるのでございますが、それでもいよいよこれから竜宮行と決った時には....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
どもはもちろん、筋向こうの自身番からも近所となりからも大勢の人びとが落ち合って、
手取り足取り捻じ倒して、その賊をぐるぐる巻きにした上で、定廻りに訴え出た。ただし....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
心、兎の怯懦、狐狸の狡猾…… 七 わたしは彼等の手段を悟った。
手取り早く殺してしまうことは、いやでもあるし、またやろうともしないのだ。罪祟りを....
「多神教」より 著者:泉鏡花
もし、かつは郡へも町へも触れい。布気田。 禰宜 は。 神職 じたばたするなりゃ、
手取り足取り……村の衆にも手伝わせて、その婦の上衣を引剥げ。髪を捌かせ、鉄輪を頭....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
消えるのを相図のように、同じ木蔭から又もや怪しい者がばらばらと飛び出して、安行を
手取り足取り引担いで行こうとする。安行も無論抵抗した。七兵衛も進んで主人の急を救....