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手塩
「手塩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手塩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
すかもしれませんが、この二人《ふたり》だけはわたしたとい米国におりましても立派に
手塩にかけて御覧にいれますから、どうかお構いなさらずにくださいまし。それは赤坂《....
「黄村先生言行録」より 著者:太宰治
絵であった。私は立ちどまった。 「伯耆国は淀江村の百姓、太郎左衛門が、五十八年間
手塩にかけて、――」木戸番は叫ぶ。 伯耆国淀江村。ちょっと考えて、愕然《がくぜ....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
袴を捕えた手を振り放しながら、つっと奥へ去ってしまった。 老人は、幼年時代から
手塩にかけて守り育てた主君から、理不尽な辱しめを受け、老の目に涙を流しながら、口....
「食魔」より 著者:岡本かの子
いる鉢と白いものの横っている皿と香のものと配置よろしき塗膳を持出した。醤油注ぎ、
手塩皿、ちりれんげ、なぞの載っている盆を持出した。四度目にビールの栓抜きとコップ....
「惨事のあと」より 著者:素木しづ
うやく著いたのは夜も九時近かかった。それに山崎の家のある所へ出るには、どうしても
手塩川を渡らなければならないので、河|彼方にある渡船場の人を呼ぶには、よほど大き....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
だれかがすきとおる声でこういった。校長はまっさおになってこの体を見ていた。自分が
手塩にかけて教育した生徒がかほどまで自分を信じてくれるかと思うと心の中でなかずに....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
|一歳の時に観音様の境内に籠に入れられて捨ててあったのを慈悲深い団十郎が拾い上げ
手塩にかけて育てたところ、天の成せる麗々と不思議に小手先が利くところから今では立....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
る。私が二十四の時、この先生の謝恩会が企てられた。何しろ郷党の先輩も皆この先生の
手塩にかかっているので、大勢あつまった。私が謝恩の詞を書いた。私はこの校長さんに....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
争性をもっている。 日本の常識(それが専門家の常識ですらも)を鵜のみにすると、
手塩にかけたせっかくのシャモを鍋で煮て食うようなことになってしまう。 相撲とい....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
。) 阿闍梨『や、や、こりゃ真正の生首』 源右衛門『粗末の品ではござりまするが、
手塩にかけて育てた忰。首の素性は確でござりまする』 阿闍梨『よもや、それまでは得....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
、いずれに愛情のかわりは御座いませんけれども、この総領娘は私が困苦していた盛りに
手塩にかけただけに、余計に最愛しまれるように思われます。 こういう苦しい時代で....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
いうことになるのですが、どうといって、弟子でも置いて段々と丹精して、まず自分から
手塩に掛けて作るよりほかはない。……と気の長い話でありますが、こう考えるよりほか....
「蟹満寺縁起」より 著者:岡本綺堂
弁天様に三七日の願をかけたら、その奇特であんな美しい娘が生まれた。やれ、嬉しやと
手塩にかけて生長させ、近いうちに相当の婿を取って、わたし達もまず安心しようと楽し....
「残肴の処理」より 著者:北大路魯山人
ても、もとよりの話であるが、料理人は料理で身すぎをする人間だ。いい材料を使って、
手塩にかけたものが客の腹加減から用を足さないで戻ってきた場合、またもう一度これを....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
っていうと二人とも夢中だった。――それは、まァ、麒麟児といわれた子役のむかしから
手塩にかけて、あれだけの立派な役者にしたことを思えば、したほうにしたってされたほ....