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手巾
「手巾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手巾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
声の主《ぬし》は妹である。旧式の束髪《そくはつ》を俯向《うつむ》けたかげに絹の
手巾《はんけち》を顔に当てた器量好《きりょうよ》しの娘さんである。そればかりでは....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
事の出来ない謎なのです。」
本多子爵《ほんだししゃく》はどこからか、大きな絹の
手巾《ハンケチ》を出して、つつましく鼻をかみながら、もう暮色を帯び出した陳列室の....
「河童」より 著者:芥川竜之介
へ通りかかったのは髪の長い詩人のトックです。トックは僕らの顔を見ると、腹の袋から
手巾《ハンケチ》を出し、何度も額をぬぐいました。
「やあ、しばらく会わなかったね....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
りと了解した。彼女は耳環《みみわ》を震わせながら、テエブルのかげになった膝の上に
手巾《ハンケチ》を結んだり解いたりしていた。
「じゃこれもつまらないか?」
譚....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
ます。」と、柄《がら》にもなくはにかんだ返事をした。すると丹波先生はズボンの砂を
手巾《ハンケチ》ではたきながら、得意そうに笑って見せて、
「お前よりも出来ないか....
「路上」より 著者:芥川竜之介
たんだが。」
野村は鉄縁《てつぶち》の眼鏡を外《はず》すと、刻銘《こくめい》に
手巾《ハンケチ》で玉の曇りを拭いながら、
「初子《はつこ》さんは何でも、新しい『....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
た。彼は思わず首を縮《ちぢ》めながら、砂埃《すなほこり》の立つのを避けるためか、
手巾《ハンカチ》に鼻を掩《おお》っていた、田口《たぐち》一等卒に声をかけた。
「....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
うものを用いたことはない。が、特にこの夜だけは南画の山水か何かを描いた、薄い絹の
手巾《ハンケチ》をまきつけていたことを覚えている。それからその
手巾には「アヤメ香....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
大変感情を害したからね、君から断ってくれたまえ。」 と真面目で云って、衣兜から
手巾をそそくさ引張出し、口を拭いて、 「どうせ東京の魚だもの、誰のを買ったって新....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
れが耳に入って気になったかね、そうかい。」 「いいえ、」とまた俯向いて、清らかな
手巾を、袂の中で引靡けて、 「気にいたしますの、なんのって、そういうわけではござ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
にでも乗りそうな、中ごろへ、早|薄靄が掛った上から、白衣のが桃色の、水色のが白の
手巾を、二人で、小さく振ったのを、自分は胴の間に、半ば袖をついて、倒れたようにな....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
もきりりとした、その癖|口許の愛くるしいのが、パナマの帽子を無造作に頂いて、絹の
手巾の雪のような白いのを、泥に染めて、何か包んだものを提げている。 成程これな....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ぬけの戸障子にも似ず、したたかな酒の香である。 酒ぎらいな紳士は眉をひそめて、
手巾で鼻を蔽いながら、密と再び覗くと斉しく、色が変って真蒼になった。 竹の皮散....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
んなかあたりへ来て鼻目金をはずした、※がかかって曇ったと見える。 で、衣兜から
手巾を出して、拭きにかかったが、蝙蝠傘を片手に持っていたから手を空けようとして咽....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
が、俄に息苦しい煙になって、濛々と車内へ漲り出した。元来|咽喉を害していた私は、
手巾を顔に当てる暇さえなく、この煙を満面に浴びせられたおかげで、殆息もつけない程....